マカオ政府が小児がんの小学5年女子児童の海外治療費を全額負担、第一段階で6000万円超=募金活動中止

近日、小児がんを宣告されたマカオの小学5年生の女子児童の通う学校などが中心となって、少女が渡米して骨髄移植を受けるための募金活動を行い、大きな社会的関心事となった。

マカオ政府衛生局は1月6日にプレスリリースを発表し、同局がこの女子児童に対して適切な治療機会を提供する責任を果たすと表明した上、少女の最新の治療状況を明らかにした。同局では、女子児童が小児がんと診断された後、2012年に香港へ移送して治療及び骨髄マッチングを進めてきたという。また、同年12月に香港医療当局を通じてマカオの骨髄バンクドナー登録システムを設立したことを受け、香港のドナー及び1000万以上の登録者データを有するBMDW(骨髄ドナーワールドワイド)とのマッチングが可能となり、渡米することなく香港で治療を続けることができるとのこと。現在、女子児童は、香港のクイーン・マリー病院の専門医の下で適切な治療が提供されており、昨年(2015年)12月に最新の治療プランが示されたばかりだという。

衛生局の上位部門にあたる社会文化庁のアレクシス・タム長官は1月7日、クイーン・マリー病院の専門医から昨年12月に示された女子児童の最新治療プランについて、第一段階の費用がおよそ400万香港ドル(日本円換算:約6000万円)超に達することを明かすと同時に、マカオ政府が治療費全額を負担することを表明した。また、今回が特例ではなく、現行法例に基づき、マカオ市民(居留権保有者)ががんと診断された場合、政府が治療を手助けする責任を有すると付け加えた。

政府がサポートを表明したことを受け、募金活動は中止され、女子児童の両親は1月7日付の地元紙に謝恩メッセージを掲載。すでに集まった40万パタカ(約600万円)超の募金については地元紙の読者公益基金会に寄付された。

マカオ特別行政区はカジノ税収という潤沢な財源を抱えており、社会保障が充実していることで知られる。

マカオ特別行政区政府本部ビル(資料)—本紙撮影

マカオ特別行政区政府本部ビル(資料)—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオの統合型リゾート(IR)運営企業SJMリゾーツ社がマカオ特別行政区の成立25周年を記念して…
  2.  マカオ政府統計調査局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)の民間建築及び 不動産取引…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が今週末の3日間(2024年5月17〜19日)にかけて香港・将軍澳エ…
  4.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  5.  マカオ金融管理局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)のマカオ国際性銀行業務統計を公…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun