マカオ、孫文が1893年に創設した「中西薬局」跡を年内一般公開へ

辛亥革命(1911)によって清朝を倒し、中華民国を建国したことから「近代中国の父」と呼ばれる孫文(1866〜1925)。日本との縁が深い人物として知られるが、一時期マカオに暮らし、医師として開業していたことから、その足跡を辿ることができる場所も残っている。

マカオの政府系放送局TDMが1月9日夜のラジオニュースで報じた内容によると、マカオ政府文化局は同日、同局が修復プロジェクトを進めている草堆街80番地の「中西(チョンサイ)薬局」跡について、作業が間もなく完成するとし、(2016)年内にも一般公開を予定していることを明らかにしたという。

草堆街80番地の建物は長らく廃屋だったが、近年になって文化局が調査に乗り出したところ、複数の史料から1893年に孫文が創設した診療所兼調剤薬局「中西薬局」跡だったことが判明。マカオ政府は、歴史的、文化的に高い価値を有するものとし、辛亥革命100周年にあたる2011年、この建物を3600万パタカで買い取り、一般公開のための修復プロジェクトをスタートさせた。

修復中の建物は3階建てで、下層階が店舗と診療所、上層階が住居スペースとなっており、孫文が生活の拠点としていたとみられる。また、孫文は診療及び施薬を通じ、革命に向けた宣伝及び支持集めを行っていたともいわれている。中西薬局創設当時のマカオは1845年にポルトガルが清国の税関官吏を追い出し、1887年に正式に植民地化した直後にあたる。

草堆街は旧市街エリアの一角にあり、かつてマカオの主要港だった内港に近く、古くから商業地として栄えた場所で、現在も昔ながらの町並みが比較的多く残る。

マカオ政府文化局が修復を進める「中西薬局」跡=2015年7月(写真:ICM)

マカオ政府文化局が修復を進める「中西薬局」跡=2015年7月(写真:ICM)

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