カジノ市場低迷のマカオ、半年間でVIPルーム30軒以上閉鎖

2002年のカジノ経営ライセンスの対外開放を機に世界一のカジノ都市へと急成長を遂げたマカオだが、2014年下半期以降、低迷が長期化している。

マカオ政府のカジノ監理部門、博彩監察協調局(DICJ)が1月1日に公表した2015の累計カジノ売上は前年から34.3%減となる2308.4億パタカ(日本円換算:約3兆4000億円)で、2年連続で前年割れとなり、金額は2011年実績をやや下回る水準にまで逆戻りした。また、月次ベースでは2014年6月から2015年12月まで19ヶ月連続で前年割れを記録している。

マカオのカジノ売上の大半を稼ぎ出すのがVIPルームだが、中国本土の反汚職キャンペーンやマカオ当局によるカジノ周辺の規制及び入境制限の強化などを理由に、主要顧客基盤である中国本土富裕層のマカオへの渡航意欲が減退しているとされ、売上低迷の主要因とされている。

マカオの日刊英字経済紙マカオビジネスデイリーが1月11日付電子版で報じた記事によると、業界団体マカオゲーミング&エンターテイメントプロモーターズ協会の郭会長は同紙の取材に対し、半年前に協会が把握していたVIPルームの数は146軒だったが、現在も営業しているところおよそ100軒にまで縮小しており、30〜40軒がクローズしたと回答したとのこと。同氏はその理由として、顧客の減少に加え、過去のギャンブラーへの貸し付けが不良債権したことによる資金繰りの悪化などが挙げている。

なお、大手投資銀行モルガンスタンレーが近日発表したマカオのカジノ売上見通しに関するレポートでは、2016年の累計カジノ売上が前年比6%減、このうちマスゲーミング(平場)が4%増、VIPルームが16%減との予測となっている。今後、マカオのカジノ売上はマスを主体にゆるやかな回復が見込まれるとし、2017年にプラスに転じる見込みという。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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