マカオ、改正タクシー法施行から3ヶ月目の違反摘発件数が前年同月比8割超の減少…罰則強化で抑止効果

 近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んだものの、暗躍が続いていた状況だ。

 今年(2019年)6月3日から罰金の大幅値上げや違反累積(5年内に4回)での免許取り消し制度の導入といった罰則の強化、タクシーの監察機関が政府交通事務局(DSAT)単独から治安警察局を加えた体制とすることなどを盛り込んだ改正タクシー法が施行された。抑止効果による悪質タクシーの駆逐に期待が寄せられている。

 改正タクシー法におけるぼったくり、乗車拒否の罰金はそれぞれ最高1万5000マカオパタカ(日本円換算:約19.8万円)、3000マカオパタカ(約4.0万円)。

マカオ治安警察局による取り締まりの様子(写真:マカオ治安警察局)

マカオ治安警察局による取り締まりの様子(写真:マカオ治安警察局)

 マカオ治安警察局が9月5日午後に発表した内容によれば、改正法施行後3ヶ月目となる8月の違反検挙数は75件で、前年同月から79%の大幅減、前月からは23%増だった。

 内訳は「ぼったくり」が前年同月から95%減の10件、「乗車拒否」が66%減の23件、その他違反が37%減の42件。

 改正タクシー法施行後の6月3日から8月31日の累計では、違反検挙数が前年同時期から82%減の224件で、内訳は「ぼったくり」が前年同月から93%減の53件、「乗車拒否」が80%減の52件、その他違反が47%減の119件。

 マカオ治安警察局では、タクシードライバーの間で遵法意識が明確に改善したこと、当局によるモニタリングと厳しい取り締まり姿勢の継続が数字として現れたとした。

 同局によれば、改正法施行後にぼったくりと乗客指定場所への運送拒否で4回検挙されたタクシードライバーが1人おり、最初の3回の違反については罰金を納付済みで、4回目の違反については不服申立て手続き中とのこと。仮に4回目の違反が確定した場合には、免許取り消し(3年間再試験受験不可)の最初の例となる。

 なお、昨年通期の違反検挙総数は前年から11.6%増となる6126件(1日当たり平均では約17件)。内訳はぼったくりが20.9%増の3846件、乗車拒否が15.1%減の1336件で、検挙数全体の84.6%を占めた。

マカオ治安警察局による取り締まりの様子(写真:マカオ治安警察局)

マカオ治安警察局による取り締まりの様子(写真:マカオ治安警察局)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府統計調査局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)の民間建築及び 不動産取引…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が今週末の3日間(2024年5月17〜19日)にかけて香港・将軍澳エ…
  3.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  4.  マカオ金融管理局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)のマカオ国際性銀行業務統計を公…
  5.  このほどマカオ政府財政局(DSF)が公表した最新統計によれば、今年(2024年)4月の住宅売買・…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun