香港とマカオ結ぶ高速船2社が相次ぎ減便発表…港珠澳大橋開通による旅客の陸路シフトで

 香港とマカオの間のアクセスは、長きにわたって高速船の独壇場だったが、昨年(2018年)10月に港珠澳大橋が開通したことをきっかけに、旅客の陸路シフトが進んでいる。

 マカオ政府統計調査局が公表した最新の旅客統計によれば、今年1〜7月累計の海路経由の入境旅客数は前年同時期から36.5%の大幅減となる延べ401.2万人にとどまっている。

 こういった状況を受け、香港とマカオの間で高速船サービスを展開する2社が相次ぎ減便を発表した。

 このほど、高速船「ターボジェット」運営会社の親会社にあたるシュンタックグループが公表した今年(2019年)中間決算報告書によれば、上半期のフェリーサービス事業の赤字が7000万香港ドル(日本円換算:約10億円)、香港〜マカオ路線の乗客数は32%減の延べ460万人だったという。なお、前年同期には1.6億香港ドル(約22億円)の黒字だった。同社では、今年9月1日から主力の香港(上環)とマカオ(外港)を結ぶ路線の昼間の運航頻度を15分毎から20〜30分毎に変更したほか、夜間時間帯や他路線でも減便を実施した。

 また、高速船「コタイウォータージェット」も、10月からの減便を発表。10月1日からマカオ(タイパ)午前7時発の香港(上環)行き、香港(上環)午後9時半発のマカオ(タイパ)行き、2日から香港(九龍)午前8時15分発のマカオ(タイパ)行き、マカオ(タイパ)午前4時半発の香港(上環)行き、香港国際空港午後2時15分発のマカオ(タイパ)行き、マカオ(タイパ)午前10時15分発の香港国際空港行きなどが減便となる予定。

 高速船を利用する場合、香港〜マカオのフェリーターミナル間の所要時間は約1時間。大橋を利用する場合、両地のイミグレーション施設間を単純往復するシャトルバスの所要時間は約40分、運賃は高速船の半額以下の設定で、運行頻度もピーク時5分毎、ノンピーク時10〜15分毎、深夜15〜30分毎。ただし、フェリーターミナルは市街地にあるが、大橋のイミグレーション施設は両地とも市街地からやや離れた場所(香港側は香港国際空港に近いランタオ島の北部、マカオ側はマカオ半島北東沖に造成された人工島)に位置するため、市街地との間の移動にかかる時間や費用を考慮する必要がある。大橋の香港側のイミグレーション施設については、将来的に香港国際空港と接続する計画がある。

ターボジェット(手前)とコタイウォータージェット(奥)の高速船(資料)=香港・上環のフェリーターミナルにて本紙撮影

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