マカオ、20年2月のカジノ売上は対前年87.8%減の419億円…新型コロナ防疫対策による15日間の休業やインバウンド旅客数激減で

 マカオ政府博彩監察協調局は3月1日、今年(2020年)2月のマカオの月次カジノ売上について、前年同月から87.8%、前月から86.0%のそれぞれ減となる31.04億マカオパタカ(日本円換算:約419億円)だったとする最新統計を公表した。

 主なマイナス要因として、新型コロナウイルス感染症防疫対策の一環として、2月5日から19日までの15日間にわたってすべてのカジノ施設が休業したこと、1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられており、インバウンド旅客数が激減していることが挙げられる。

 今年1〜2月累計のカジノ売上は前年同時期から49.9%減の252.29億マカオパタカ(約3407億円)で、マイナス幅は前月終了時点から38.6ポイント拡大。

 政府はカジノの再開にあたり、運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲスト及び従業員のいずれも入場時に体温検査、マスクの着用、健康申請書の提出が義務付けられる。マカオ入境前14日以内に湖北省滞在歴がある場合は入場できない。また、ゾーン毎に過半数のテーブルを非稼動としてカジノテーブル間の距離を確保するなどの調整も行われ、テーブルゲームでは隣席を空ける対応となり、バカラテーブルでは1テーブルにつき同時にベットに参加できるのは3〜4人になる。スロットマシンについては、1台または2台おきの稼動とし、ゲスト同士が一定の距離が保たれている。

マカオ政府のギャンブル規制、労働、衛生当局の責任者らによる再開後のカジノ施設に対するインスペクションの様子(写真:GCS)

 マカオでは2月5日から25日連続で新型コロナの新規感染確認ゼロが続いており、域内は落ち着きを取り戻しつつある。しかしながら、外部との往来については、制限が一層強化されており、今後しばらくの間、インバウンド旅客数は相当の減少が見込まれる。

 マカオのカジノ施設は基本的に年中無休の24時間営業。近年、大型台風の襲来時に数日間の閉鎖はあったが、15日間にわたる長期の休業は極めて異例のこと。マカオにおいて、カジノは最大の産業だ。カジノ税収が歳入の約8割を占め、およそ8万人がカジノ業界で就業している(マカオの総人口は約67万人)。観光業、小売業などで間接的にカジノ産業と関わる人も多い。

 マカオの月次カジノ売上は2014年6月から2016年7月まで26ヶ月連続で前年割れだったが、2016年8月から2018年12月まで29ヶ月連続で対前年プラスを維持。その後、2019年は1、3、4、7、8、10、11、12月がマイナス、2、5、6、9月がプラスだった。なお、2019年通期のカジノ売上は対前年3.4%減の2924.55億マカオパタカ(約3兆9495億円)。3年ぶりに前年割れとなり、2年ぶりに3000億パタカの大台も下回った。

新型コロナウイルス防疫対策のためマカオの全カジノ施設が一時休業に。シャッターを下ろしたカジノ入口=2020年2月5日午前本紙撮影

【資料】
マカオのカジノ施設における主な新型コロナウイルス感染症防疫対策
・1月上旬〜:カジノ施設のゲスト及び従業員入口に体温測定装置を順次設置
・1月22日〜:カジノフロアでの業務に従事するスタッフのマスク着用義務化
・1月27日〜:入境前14日以内に湖北省滞在歴のあるゲストの入場禁止
・2月1日〜:カジノフロア入場ゲストのマスク着用義務化
・2月4日:カジノ施設の一時休業決定発表
・2月5日:カジノ施設の15日間の休業スタート(2月19日まで)
・2月17日:カジノ施設の一時休業解除を発表(2月20日から)
・2月20日:全41施設中29施設で営業再開

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  2.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…
  3.  ユネスコのアジア太平洋地域世界遺産研修研究所は7月23日、第46回国連大会が開催中のインド・ニュ…
  4.  マカオ司法警察局は7月25日、マカオで覚醒剤の密売したとしてタンザニア人旅客の20代の男を逮捕し…
  5.  マカオ治安警察局は7月25日、カジノ施設が集積するマカオ半島新口岸地区にあるスーパーマーケットで…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun