マカオ、29日連続で新型コロナの新規感染確認ゼロ…累計患者10人中9人が治癒し退院=5月の大型イベント「アートフェス」開催中止に

 中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月4日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、29日連続で新規感染確認ゼロとなった。

 これまでの累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、直近の3人がマカオ人。累計退院者は9人で、内訳は武漢からの旅客7人とマカオ人2人。武漢からの旅客は退院後すぐに専用車両で中国本土へ戻り、マカオ人についてはは再発症リスクを考慮して自宅へは戻さず、隔離施設へ移送しての経過観察となっている。残るマカオ人1人についても軽症で、発熱や呼吸困難の症状はないとのこと。

 また、2月20日から運用がスタートした新型コロナウイルス感染者が多く確認されている「高発生地区」(中国本土の10省3市)からの旅客を対象に検疫を行う「医学検査ステーション」について、近日対象者が増大し、1日あたり3000人に達していることから、5日午前8時から2ヶ所あるうちの1つ(關閘イミグレーション横の体育館)をより大規模な会場(マカオ半島新口岸地区のマカオフォーラム)に移設することも発表された。同一時間帯の検査可能人数は旧会場が500人だったのに対し、新会場では1000人超になるという。医学検査ステーションでは6〜8時間にわたる検査が行われ、検査結果に問題がないと判断された場合に限って入境が認めらる。なお、武漢市含む湖北省については、1月27日から合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須化されている。直近14日以内に韓国、イタリア、イラン滞在歴のある旅客については指定施設(ホテル)で14日間の医学観察の対象となり、費用は自己負担。

3月4日夕方に開催されたマカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 このほか、政府文化局は同日、新型コロナウイルス感染症の流行が世界各地へ拡大している状況を受け、5月に開催を予定していた大型文化イベント「第31回マカオアートフェスティバル(澳門藝術節)」の中止を発表。アートフェスの開催期間は約1か月間と長く、世界各地から舞台、音楽、展覧会など様々なアートジャンルのイベントが市内各所の会場で開催され、世界遺産を会場にしたイベントも多いのも特徴。来年5月にあらためて第31回として開催するとのこと。

 マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区(現時点では韓国、イタリア、イラン)との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても全学校の休校(継続中)や政府窓口の一時休止(3月2日から限定的に解除)を含む不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ感染拡大の食い止めに成功しているといえる。

 入境制限を含む厳格な防疫対策を堅持されており、インバウンド旅客は激減したままだ。アジア有数の観光都市とあり、経済的打撃は大きく、試練の日々が続いている。マカオ政府は、域内の状況は落ち着いているものの、周辺地区において流行は続いており、引き続き警戒を緩めず、特に不要不急の外地との往来を避けるよう呼びかけている。

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