マカオのカジノ施設ほぼ再開も防疫対策で稼働テーブル数は半数以下…新型コロナ影響続く

 新型コロナウイルス感染症の流行によって、マカオのカジノも大きなダメージを受けている。防疫対策の一環として2月5日から19日までの15日間にわたって全カジノ施設が休業したことに加え、年間最大の書き入れ時となる春節(旧正月)ゴールデンウィークを含む1月下旬から現在に至るまで中国本土ほか流行国・地域からの入境制限が実施されている。カジノは再開したものの、インバウンド旅客は激減したままで、カジノ売上は低迷が続く。

 マカオカジノ規制当局(DICJ)はカジノの再開にあたり、運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲスト及び従業員のいずれも入場時に体温検査、マスクの着用、健康申請書の提出が義務付けられる。マカオ入境前14日以内に湖北省滞在歴がある場合は入場できない。また、ゾーン毎に過半数のテーブルを非稼動としてカジノテーブル間の距離を確保するなどの調整も行われ、テーブルゲームでは隣席を空ける対応となり、バカラテーブルでは1テーブルにつき同時にベットに参加できるのは3〜4人になる。スロットマシンについては、1台または2台おきの稼動とし、ゲスト同士が一定の距離が保たれている。再開したといっても、あくまで限定的だ。

 DICJが3月9日に発表した内容によれば、同日までにマカオに41あるカジノ施設のうち、38施設が再開したとのこと。新型コロナによる一時休業前からクローズしていたものが2つあることから、実質再開できていない施設は1つのみ。一方、上述の防疫施策への対応に伴い、再稼働したゲーミング(カジノ)テーブル数は約3100台で、総数の46%にとどまっている。

マカオのカジノでは防疫対策としてテーブル及び座席間の距離が確保されている(写真:DICJ)

 カジノが再開可能となった2月20日以降、DICJでは施設内の防疫対策実施状況に特化した巡回パトロールを複数回実施しており、28件の違反(客が密集する状況、マスク、消毒液の供給状況、ゲーミングテーブルと座席の距離および配置、客のマスク不着用等)が確認されたとのこと。このほか、苦情も9件あり、すべての案件に対処済みという。

 DICJでは、継続してカジノ運営企業に対する防疫対策の実施状況チェックを強化して臨み、安全な衛生環境の下での営業を確保するとしている。

 参考までに、2月の月次カジノ売上は前年同月から87.8%減の31億0400万マカオパタカ(日本円換算:約400億円)、1〜2月累計では49.9%減の252億2900万マカオパタカ(約3248億円)だった。3月以降についても、インバウンド旅客の約7割を占める中国本土からの入境制限が緩和されない限り、低迷は避けられない見通し。

マカオのカジノ入口における体温検査の様子(写真:DICJ)

【資料】
マカオのカジノ施設における主な新型コロナウイルス感染症防疫対策
・1月上旬〜:カジノ施設のゲスト及び従業員入口に体温測定装置を順次設置
・1月22日〜:カジノフロアでの業務に従事するスタッフのマスク着用義務化
・1月27日〜:入境前14日以内に湖北省滞在歴のあるゲストの入場禁止
・2月1日〜:カジノフロア入場ゲストのマスク着用義務化
・2月4日:カジノ施設の一時休業決定発表
・2月5日:カジノ施設の15日間の休業スタート(2月19日まで)
・2月17日:カジノ施設の一時休業解除を発表(2月20日から)
・2月20日:カジノ施設の営業再開可能に(準備のための30日間の猶予期間あり)

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