コロナ封じ込めに成功したマカオのIRが実践する防疫対策とは…運営会社GEGに聞く

 新型コロナの流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見通せない中だが、記事執筆時点マカオの累計感染確認者数は46人(輸入性症例44人、輸入関連性症例2人)にとどまっており、輸入関連性症例に限ると100日間にもわたって確認されていない。これまで市中感染、院内感染の発生もいずれもゼロとなっており、新型コロナの封じ込めに成功した例として、世界から注目を集める存在となっている。

 マカオ政府は1月下旬という早い段階から各種防疫措置を講じ、その後も状況の変化に応じて矢継ぎ早に追加施策を打ち出してきた。2月にはカジノ施設に対する2週間の閉鎖令が出されたことなど記憶に新しい。カジノ施設は予定通り2週間で再開したものの、厳格な入境制限は現在も維持されており、インバウンド旅客の減少によるカジノ売上、そしてホテル客室稼働率の低迷が続いている。

 なお、新型コロナの影響によって統合型リゾート(IR)そのものが営業をストップすることはなかったが、政府による2週間の閉鎖令が出されたカジノのほか、一部料飲施設(バー、ビュッフェ形式のレストラン等)、フィットネス施設、スイミングプール、キッズ向けプレイルーム、エンターテインメント施設(映画館・劇場)といった施設が防疫上の理由で一時クローズとなった。すでにカジノ施設については全IRで再開済み、その他についてもIRにより多少の差異はあるものの概ね再開しており、防疫措置を講じた上での営業を行っている。

 昨今、マカオのIR運営会社は「防疫環境(健康・安全)」を前面に押し出したプロモーションを展開している。かつてはゴージャスさを訴求するのが当たり前だったことを考えると隔世の感があるが、コロナとの共生を余儀なくされる今日の価値観では、健康・安全のプライオリティが上がっているのも当然といえる。目下、マカオでは、官民が手を取り合ってポストコロナ時代をリードする国際観光都市への進化を目指す動きが進められている。

 では、実際にIR運営会社はどのようにコロナと向き合い、ポストコロナ時代への準備を進めているのだろうか。今回、「ギャラクシー・マカオ」など複数のIRを運営するギャラクシー・エンターテインメント・グループ(GEG)の広報担当シニア・ヴァイスプレジデント、バディ・ラム氏にお話を伺った。

コタイ地区にあるIR「ギャラクシー・マカオ」入口における検温のイメージ(写真:Galaxy Entertainment Group)

【GEGではどのような心構えで新型コロナ対策に臨んでいる?】

 最も重要な存在であるゲストと従業員の双方にとって健康で安全な環境を継続的に提供することを第一義とした取り組みを進めています。新型コロナの流行を受け、即座に社内に緊急対策本部を立ち上げ、政府関連部門との密な連携を図り、衛生当局が定めるガイドラインに沿った各種防疫対策を厳格に実行しました。政府の施策が効果的かつ信頼性の高いもので、結果としてコロナの封じ込めに成功したと評価しています。

 また、ポストコロナ時代の観光業界において、「衛生」が新たなプライオリティになるはずです。弊社が掲げる「ワールドクラス、アジアのおもてなし」という理念の下、ゲストが安全かつ快適に過ごせるよう、施設全体で最高レベルの衛生状態を維持し続けます。

【GEG傘下のIRでは具体的にどのような防疫措置を講じている?】

 全従業員に勤務中の確実なマスク着用を求め、検温も実施しています。これに加え、すべての施設入口における個々ゲストの検温と健康申告もこれまで数ヶ月間にわたって実施してきました。カジノ入口についても同様の措置を継続しています。また、館内各施設の消毒・清掃の強化に取り組んでおり、ウイルスや細菌に対する科学的効果が証明された先端技術、プロフェッショナル用品を採用したり、現在はナノコーティング技術を応用した長期持続型抗菌材の採用についても検討を行っているところです。

【その他、特筆すべき取り組みは?】

 社内及びゲストに対してのみならず、地域社会も支援しています。今、マカオ各界が団結して協力し合ってコロナを封じ込めることが大切ですから。GEG基金を通じた防疫プロジェクトへの資金拠出をはじめ、地元教育機関及び社会福祉施設への助成、医療従事者ケア、公衆衛生に関する啓蒙、疫学関連研究を支援するための寄付、中小企業に対する経済支援などを積極的に行ってきました。

 IRは特にインバウンド旅客依存が高く、運営会社のビジネス環境も大きな困難に直面していると容易に想像できる。IR運営会社はマカオの中で大企業にあたり、これまでも様々なかたちで地域社会への貢献を果たしてきたが、上記のようなGEGの施策をはじめ、各社がコロナ禍において適所へ必要な支援を迅速に実施したことで、その存在感が一層際立ったといえる。

 観光都市マカオでは、本来ならば書き入れ時となる夏休みシーズンを間近に控える中、インバウンド旅客は見込めそうにない。逆に、約70万人のマカオ市民も旅行へ出かけることができない。IR運営各社では、地元市民向けのステイケーションパッケージやレストランの割引といったプロモーションを次々と打ち出しており、好評を博している。新型コロナによってIRと地域社会の距離が縮まったとすれば、非常に興味深い。

GEGによれば、現在もビュッフェ形式のレストランなど一部施設がクローズしているが、準備が整い次第、順次再オープンするとのこと(写真:Galaxy Entertainment Group)

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