中国本土からマカオへの観光旅行再開スケジュール明らかに…9月23日までに全域に拡大へ…新型コロナ流行状況安定受け

 徹底した防疫措置を講じてきたことを受けて、このところマカオ及び中国本土における新型コロナの封じ込めに一定の成果がみられる状況。マカオに限れば新規感染確認例は8月11日まで46日連続ゼロ、輸入関連性症例に限ると実に135日連続ゼロとなっている。

 マカオ政府は8月10日、中国広東省珠海市居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の発給が同月12日から再開されることを明らかにした上、他のエリアへ少しずつ拡大されるだろうとの見通しを示した。「自由行」と呼ばれる個人・団体を対象とした観光目的のマカオ渡航許可の再開は約半年ぶりのこととなる。

 これを裏付けるように、中国の国家移民管理局は8月11日付で発出した公告の中で、マカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の発給再開スケジュールについて、特殊な状況が発生しなければ同月26日から広東省、9月23日から中国本土全域に拡大するとした。

 ただし、過去14日間に中・高リスク地域(現時点では大連市、ウルムチ市が相当)に滞在していた場合、申請は受理されない。

 また、渡航許可を所持していても、マカオ入境にあたって新型コロナウイルス核酸検査(PCR検査)陰性証明書、「健康コード」(直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先を入力して生成されるもの)の提示など水際措置で定められた諸条件をクリアする必要がある。マカオ政府では、新措置によってマカオ域内における新型コロナ流行状況が中・高リスクに変化した場合に、水際対策を再強化すると予防線を張っている。

 コロナ禍で国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。今年上半期(1〜6月)累計のインバウンド旅客数は前年同時期から83.9%減の326万8900人にとどまっており、これに比例してカジノ売上、ホテル客室稼働率、小売販売額なども大幅に低迷が続く。

 マカオの総インバウンド旅客数に占める中国本土旅客の割合は約7割。インバウンド依存度の高いマカオ経済にとって、中国本土旅客の回帰時期が具合的に見通せるようになったのは極めて大きい。ここまで春節(旧正月)、労働節ゴールデンウィーク、夏休みと複数の書き入れ時を逃してきたが、10月頭の国慶節ゴールデンウィークには間に合う公算だ。

 一方、マカオでは外国人に対する全面入境禁止を維持している。中国本土からの旅客の再開による状況の変化を注視しながら、次のステップとして新型コロナ流行状況の比較的落ち着いた国・地域を対象に制限緩和を検討するものと期待される。

新型コロナの影響でインバウンド旅客が激減したマカオ。写真は観光名所、世界遺産・聖ポール天主堂跡=2020年7月5日本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  2.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…
  3.  ユネスコのアジア太平洋地域世界遺産研修研究所は7月23日、第46回国連大会が開催中のインド・ニュ…
  4.  マカオ司法警察局は7月25日、マカオで覚醒剤の密売したとしてタンザニア人旅客の20代の男を逮捕し…
  5.  マカオ治安警察局は7月25日、カジノ施設が集積するマカオ半島新口岸地区にあるスーパーマーケットで…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun