2019年マカオ居民のギャンブル参加率は約4割…ギャンブル依存率も0.8%まで低下…啓蒙活動継続実施が奏功

 マカオは人口約70万人、面積は東京の山手線の内側の半分に相当する30平方キロという小さな地域だが、およそ40軒ものカジノ施設が建ち並び、年間カジノ売上は世界最大規模を誇る。

 カジノだけでなく、競馬やスポーツベッティングといった各種ギャンブルも存在し、政府とコンセッション契約を結んだ民間事業者が運営している。

 マカオでは、政府社会工作局(IAS)が中心となり、政府博彩監察協調局(DICJ、ギャンブル規制局にあたる)、ギャンブル運営事業者、教育・福祉機関と連携するなどして地域コミュニティにおける「レスポンシブルゲーミング」(=ギャンブル依存の予防と治療対策)に取り組んでいる。

 12月9日、IAS、DICJ、マカオ大学(公立総合大学)コマーシャルゲーミング研究所が合同実施した「レスポンシブルゲーミングプロモーション2020」の総括会が開催された。同プロモーションは政府部門、教育機関、ギャンブル運営事業者、社会福祉サービス機関の協力を得て毎年恒例で実施されているもので、今年(2020年)は「コントロールを失うと家族も失う」をテーマに掲げて9月23日にスタート。期間中、啓蒙イベントやトレーニングといったリアル活動に延べ2.8万人が参加したほか、インターネット上で展開したクイズ大会などのコンテンツを通じて延べ約9万人にアプローチできたという。

 IASの調査によれば、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)のギャンブル参加度は2007年の59.2%から2019年には40.9%に、ギャンブル依存症の有病率についても6%から0.8%にそれぞれ低下。また、マカオ居民の間でのレスポンシブルゲーミングに対する認知度はプロモーション実施前の2009年には16.2%にとどまったが、最新の2020年調査では64.4%にまで上昇。IASでは、プロモーション実施効果は明らかなものだと評価している。

 今回の総括会において、来年(2021年)のプロモーションに「レスポンシブルゲーミング執行指標」を設けることも明らかにされた。マカオにおけるギャンブル業の秩序ある発展を促進するため、関連プロモーションを展開する社会福祉サービス機構及びギャンブル運営事業者を対象とし、設備や内容の基準設定とレビューを行うことで、より質の高いプロモーションを目指すのが目的とのこと。

 このほか、マカオ大学コマーシャルゲーミング研究所の馮家超(デービス・フォン)所長は、新型コロナウイルス感染症流行下におけるマカオ居民のギャンブル状況についてコメント。過去の調査からマカオ居民によるカジノ売上(ゲーミング粗収益、GGR)は全体の2〜3%を占めることがわかっており、水際措置が最高レベルまで強化され、1日わずか100人程度のインバウンド旅客しかいなかった今年の2ヶ月間のデータを参照すると、いずれも7〜8億マカオパタカ程度(日本円換算で約100億円前後)の売上だったことから、過去調査の推計と一致するため、新型コロナ流行下でもマカオ居民のギャンブル消費に大きな変化はなかったものとの見方を示した。

マカオ大学で開催された「レスポンシブルゲーミングプロモーション2020」の総括会=2020年12月9日(写真:IAM)

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