マカオで予約なしもOKの大規模新型コロナワクチン接種ステーション運用開始…1日最大2000人キャパ

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。

 その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターの発表によれば、5月20日午後4時までの累計接種本数は14万0121本、接種を受けた人は8万8771人とのこと。内訳は1回目の接種完了が3万7153人、2回目の接種完了が5万1618人。

 参考までに、マカオの人口は約68.25万人。ここまでの接種率は低水準にとどまっているが、マカオでは新型コロナ流行の封じ込めに成功している状況で、切迫性がないためとみられる。マカオ政府は接種率向上に向けて、ワクチン2回接種を条件に防疫措置上の優遇策(大規模イベント等の参加者に対するPCR検査陰性証明提出の一部免除等)を発表したほか、大規模接種ステーションの開設や、接種対応医療機関の拡充、大学や大企業等への出張接種展開などの策を講じている。

マカオフォーラム内に開設された新型コロナワクチン接種ステーション運用開始日の様子=2021年5月20日(写真:GCS)

 大規模接種ステーションはマカオ半島のマカオフォーラム(多目的アリーナ)内に設置され、5月20日から運用が開始された。これまでマカオにおけるワクチン接種は事前予約が必要だったが、同会場では事前予約に加えてウォークイン(無予約)での接種も受け付ける。1日あたりのキャパシティは最大2000人で、運用開始当初は午前9時から午後5時まで、1時間あたり60人(うち10人をウォークイン用の枠に充当)とし、状況に応じて柔軟に調整していくとしている。運用開始初日は医師5人、看護師7人で対応にあたったとのこと。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種で、接種希望者は自由に選択することができるが、目下のところ同会場ではシノファーム製のみの取り扱いとのこと。

 マカオにおける新型コロナワクチン接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3400円)となる。政府はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社と不良副反応・副作用に関する保険契約も締結済みで、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1360万円)とのこと。

 5月20日までのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計50人。内訳は域外からの輸入性が48人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は417日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

マカオフォーラム内に開設された新型コロナワクチン接種ステーション=2021年5月18日(写真:GCS)

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