2020年マカオのゲーミング(カジノ)業界経済貢献額は約5735億円…対前年約8割減=コロナ禍インバウンド減による売上低迷で

 マカオ経済の屋台骨として知られるのが、カジノを中心としたゲーミング(カジノを含むギャンブル)産業だ。マカオにはカジノ以外にも、競馬、スポーツくじ、ロトなどのギャンブルが存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 マカオ政府統計調査局は9月10日、昨年(2020年)のゲーミング業調査結果を公表。同年のマカオのゲーミング事業者数は前年同の9社だった。コロナ禍で厳格な水際措置が講じられたことでインバウンド旅客数が大幅減となったことを受け、業界の年間総収入は前年から78.4%減の639.4億マカオパタカ(日本円換算:約8763億円)にとどまり、2年連続で対前年マイナスとなった。内訳をみると、ゲーミング収入が79.4%減の603.2億マカオパタカ(約8267億円)、リースが29.1%減の3800万マカオパタカ(約5億円)、受取利息も1.9%減の26.5億マカオパタカ(約363億円)。

 総支出は60.6%減の464.2億マカオパタカ(約6362億円)。主要因として、カジノ売上の下落により、支出の中で最も大きな割合を占める購買、コミッション、顧客へのリベートが83.3%減の94.3億マカオパタカ(約1292億円)にとどまったことが挙げられる。支出に占める割合は2019年の47.9%に対し、2020年は20.3%となり、大幅縮小。営業費用は68.8%減の99.5億マカオパタカ(約1364億円)で、割合は前年から5.7ポイント下落の21.4%に。このうち、いわゆるコンプ(ホテル宿泊、飲食、商品、サービス等の顧客への無料提供)費用が74.5%減の46.4億マカオパタカ(約636億円)。従業員支出は12.5%減の197.1億マカオパタカ(約2701億円)で、割合は前年から23.4ポイント上昇の42.5%に。このほか、利息支出が23.3%増の38.8億マカオパタカ(約532億円)に膨らんだことで、営業外費用(減価償却費及び支払利息を含む)は6.5%増の73.3億マカオパタカ(約1005億円)となった。

 業界の経済貢献を示す付加価値総額は79.6%減の418.5億マカオパタカ(約5735億円)で、3年連続最高記録更新はならず。業界の利益は87.9%減の221.3億マカオパタカ(約3033億円)、利益率は26.1ポイント下落の36.1%、経費利益率は108.0ポイント下落の56.6%で、経営効率が顕著に悪化したことを示している。このほか、業界の総固定資本形成は37.5%減の18.8億マカオパタカ(約258億円)だった。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は10月4日、同月2日にコタイ地区の統合型リゾート(IR)施設内でゲーミング(カ…
  2.  マカオ司法警察局(PJ)は10月4日、年間最大の多客期のひとつにあたる国慶節ゴールデンウィーク期…
  3.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  4.  マカオは面積約32平方キロ(東京の山手線の内側の約半分に相当)、人口約68万人という小さな地域だ…
  5.  マカオ政府金融管理局が10月3日に公表した今年(2024年)8月の貨幣・金融統計の中で、マカオの…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年10月号
(vol.136)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun