香港、新型コロナ新規市中感染確認86人…マンモス団地で発生の大規模クラスターは終息へ=1/29

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まったとされる。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。

 また、近日は新界南西部の葵涌地区にあるマンモス団地「葵涌邨」(全16棟、約3万人居住)の住民及び訪問者等の間で陽性者の出現が相次ぎ、大規模なクラスターへと発展した。

 香港衛生当局の発表によれば、1月29日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は120人で、内訳は市中が86人(感染経路不明11人)、輸入性(海外からの入境者)が34人。このほか、初歩陽性者が70人超いるとのこと。

 市中感染確認のうち75人が既知の伝播チェーン上にあり、多くが「葵涌邨」関連というが、夏青樓の1人以外は移送先の検疫センターでの確認だったという。また、香港国際空港の旅客ターミナルビルで到着者に対する検査キットの配布と座席の案内を担当する男性(と到着者が使用するトイレの清掃を担当する男性の2人については、輸入関連性事案の可能性があるとのこと。感染経路不明の11人の内訳は、オミクロン変異株感染疑いが8人、デルタ変異株疑いが2人、暫定的に未分類が1人。

 葵涌邨に絡む感染確認及び初歩陽性者の累計は29日午後4時半の記者会見発表時点で416人(約210戸)となった。葵涌邨内で最初に陽性者が出現した棟が「逸葵樓」で、感染確認及び初歩陽性者数は全16棟の中で最多の274人(133戸)。逸葵樓、映葵樓、夏葵樓の3棟を対象に5日間の局地ロックダウン措置が講じられたが、逸葵樓が28日朝、残る2棟についても29日朝にロックダウン解除となっている。香港衛生当局は29日の会見で、葵涌邨における伝播チェーンは基本的に断ち切れたものとの見方を示したが、今後再び陽性者が出現する可能性も排除できないとし、警戒を維持するよう呼びかけた。

 輸入性の34人に関して、20人以上が25日に到着した同一フライトの搭乗者だったとのこと。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めなどの策も講じられている。

 このほか、香港の1月28日午後8時時点のワクチン接種率は79.1%(1回目の接種完了)、71.1%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したなどを受けて、年初から上昇傾向が続いている。香港政府は免疫の壁を構築するために必要な接種率7割を目標に掲げ、昨年11月23日に達成済みだが、行政長官が27日の会見で、新たに9割を目指すことを打ち出している。

新界西部・荃灣地区の一角にあるマンション住民を対象に実施された強制検査の受検登録作業の様子=2022年1月28日(写真:news.gov.hk)

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