香港、新型コロナ新規市中感染確認130人…感染経路不明が連日最多更新、累計約220人に=2/4

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まったとされる。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。

 中でも、隔離検疫ホテル交差感染に端を発した伝播については、新界南西部の葵涌地区にあるマンモス団地「葵涌邨」(全16棟、約3万人居住)の住民及び訪問者等の間で感染者の出現が相次ぎ、累計感染者400人超の大規模なクラスターへと発展したが、すでに沈静化したとされ、29日朝までに団地内の3棟を対象に実施されたロックダウンが解除となった。

 香港衛生当局の発表によれば、2月4日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は131人で、内訳は市中が130人(感染経路不明59人)、輸入性(海外からの入境者)が1人。市中における感染経路不明の数は第5波が始まって以来の最多を4日連続更新(前日から28人増)した。これとは別に初歩陽性者が195人に上り、こちらも流行開始以来最多を2日連続更新。

 市中感染130人のうち、オミクロン変異株感染疑いが123人、デルタ変異株感染疑いが3人とのこと。

 香港衛生当局は2月4日夕方の記者会見で、市中感染確認例が4日連続100人を超え、かつ増加傾向にあり、総数に占める感染経路不明の割合も4割半にまで上昇するなど、楽観視できない状況にあるとの見方を示した。

 近日、感染経路不明の感染の出現エリアは広く香港全域に及び、症状は軽微もしくは無症状がほとんどで、各所の汚水から陽性反応が検出される例も増加傾向(2月3日は75サンプル中28サンプルが陽性)という状況などから、市中に複数の見えない伝播チェーンが存在するとみられ、爆発的な感染者数増が懸念されている。

 目下、香港では市中で出現した感染確認及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めなどの策も講じられている。

 このほか、香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日夕方に記者会見を開き、目下の流行状況は2年来で最悪との見方を示し、1日あたりの検査能力を大幅に引き上げるとともに、全市民にスピード抗原検査キットを配布することを明らかにした。

 香港の2月3日午後8時時点のワクチン接種率は79.5%(1回目の接種完了)、71.5%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したなどを受けて、年初から上昇傾向が続いている。

新界・大埔にある特定のマンション複数棟の住民を対象とした強制検査の受付作業の様子=2022年2月3日(写真:news.gov.hk)

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