香港、新型コロナ新規感染確認数5.6万人超…流行第5波開始以来最多、累計33万人超に=3/3

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療システムのキャパシティが限界に達するなど、状況が深刻化。近日、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局の発表によれば、3月3日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は前日から1474人増(2.7%増)の5万6827人だったとのこと。流行開始以来最多を2日連続で更新した。内訳は市中が5万6825人、輸入性(海外からの入境者)が2人。第5波開始以来の市中感染確認数の累計は約33万人に。

 なお、週内にスピード検査の結果が陽性だった場合にオンラインで報告を行うプラットフォームが稼働予定となっており、今後数字のさらなる増も予想される。

 公立病院における3日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は144人(うち134人が65歳以上の高齢者)で、これとは別に2月24日〜3月1日分として遅れて報告された死亡者が42人おり、流行開始以来の累計死亡者数は1153人とされた。死亡者の91%がワクチンの2回接種を済ませていなかったとするデータとともに、当局が高齢者と児童専門のワクチン接種センター立ち上げの準備を進めていることも明らかにされた。

 第5波下、高齢者または障がい者施設に関連する感染例が多く確認されており、これまでに感染例が出現した施設は710軒、感染者数は職員が約1300人、入所者が約4100人に上っているとのこと。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

 香港の3月2日午後8時時点のワクチン接種率は89.5%(1回目の接種完了)、77.4%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は36.2%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したこと、ワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。1日単日の接種回数は7万4422回で、高位を維持。政府は免疫の壁を構築するための目標として接種率9割の達成を掲げており、ワクチンパスが24日から本格スタートした。

 香港で新型コロナワクチン接種プログラムがスタートしたのは、昨年2月26日のことで、丸1年が経過した。接種率50%を達成したのは8月5日で、70%が11月23日、80%が今年2月6日。数日以内に90%が達成される見通し。

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