マカオでツツガムシ病患者相次ぎ確認…望廈山で感染か

 マカオ政府衛生局(SSM)は5月16日、マカオで感染症のツツガムシ(恙虫)病とみられる患者が1人報告されたと発表。

 SSMによれば、患者はマカオ人の清掃工の女性(61)で、5月4日に倦怠感と筋肉痛の症状が現れ、次第に悪化した後、10日に高熱が出たことから、大型総合病院の鏡湖醫院を受診し、入院することになったという。その後の検査で、患者の背中から豆粒大のかさぶたが1つ見つかり、症状などからツツガムシ病と臨床診断された。患者は治療を受けて熱も下がっており、同居の家族、勤務先の同僚らに類似の症状は見受けられないという。

 患者は潜伏期間中に広東省珠海市の東澳島へ旅行に出かけていたが、草地や密林を歩いたことはなく、同行者で体調不良を訴える人もいなかったと説明。患者は仕事でマカオ半島北部にある望廈山(モンハサン)の遊歩道の掃除を担当したことから、域内で感染したものとみられる。

 マカオで輸入性ではないツツガムシ病の感染例が見つかるのは極めて稀なケースだが、今回の患者が今月に入って2人目。なお、1人目の患者は外遊歴がなく、日課として毎朝マカオ半島北部にある望廈山へ運動に出掛け、草の中を歩いていたとされる。

 望廈山はかつてポルトガル軍の要塞(モンハの砦)だった小高い丘で、現在は大部分が市政公園として一般開放されており、市民の憩いの場となっている。

 ツツガムシ病は日本で第4類感染症に指定されており、ツツガムシリケッチアと呼ばれる病原体の感染によって引き起こされる、人獣共通感染症のひとつ。野ネズミなどの哺乳類に寄生するダニの一種、ツツガムシのうちの一部が媒介者となる。ツツガムシが生息する野山や河川敷で罹患することが多い。ツツガムシ病の初期症状はインフルエンザににており、食欲減退、頭痛、悪寒、高熱などがみられ、4、5日目には発疹が現れる。放置すると肝臓や腎臓の機能にも影響が及ぶといわれる。

 SSMでは、野外活動の際にむやみに草むらに入らない、肌の露出が少ない服装を心がける、ダニに効く虫除けスプレーなどを使用するなど、感染防御策を徹底するよう市民に呼びかけている。

望廈山市政公園(資料)-本紙撮影

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