香港の新型コロナ新規感染者数は489人…セントラル地区のバーでのクラスター発生、3軒目=6/2

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度でこう着状態にある。

 香港衛生当局が6月2日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から16人減の489人(輸入性65人含む)とのこと。内訳はPC検査経由が170人、迅速抗原検査経由が319人。4日ぶりに減少となったが、前日に続いて200〜300人水準を上回る状況。第5波開始以来の累計感染者数は約120.1万人。新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9167人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもある。

 近日、香港島セントラル地区にある2軒のバー(Zentral及びIron Fairies)で相次いでクラスターが発生。両ケースに関連する感染者が新たに4人報告され、累計感染者数は84人となった。2日の会見でセントラル地区にある別のバー(LINQ)でも新たにクラスターが発生したことが発表され、これまでの感染者数は18人に上ったとのこと。このうち1人がIron Fairiesに訪れていたことがわかっているという。

 2日の学校からの陽性報告数は34校の40人(学生28人、教職員12人)。

 近日、感染確認例に占める迅速抗原検査経由の陽性報告数の割合が増えているが、偽陽性だけでなく、意図的な虚偽報告もあったとされる。当局は2日夕方の会見で、5月30日の迅速抗原検査経由の陽性報告150人分について、反復検査で31人が陰性だったことが判明したことを明らかにした。近日の感染確認数がやや上振れしている中、反復検査で陰性となる比率も高まっているが、リバウンドが出現した可能性は排除できないとし、状況を注視していく必要があるとした。また、オミクロン変異株の感染力は強く、レストランやバーなどのマスクを着用しない状況でクラスターが発生するリスクがあるとし、市民に注意を呼びかけた。

 6月1日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.1%(1回目の接種完了)、87.1%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。1日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は3万7921回で、7日移動平均は4万7689回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(73.78%)、70〜79歳(81.02%)、80歳以上(67.57%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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