マカオで1ヶ月以内4人目のツツガムシ病患者確認…患者は古樹メンテナンス員、望廈山市政公園と関連か

 マカオ政府衛生局(SSM)は6月5日夜、マカオで感染症のツツガムシ(恙虫)病とみられる患者が新たに1人報告されたと発表。

 SSMによれば、患者はマカオ人の古樹メンテナンス員の女性(58)で、5月20日頃に右の脇の下に違和感を感じたほか、23日から高熱と頭痛が繰り返し出現し、26日に仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の救急外来を受診した際、入院治療が決まったという。同院での検査で、患者の右の脇の下から豆粒大の潰瘍が見つかり、症状、身体的特徴からツツガムシ病と臨床診断されたとのこと。患者の容体は落ち着いており、同住者及び友人らに同様の症状は出ていないとした。

 患者は発病前にいずれもマカオ半島にある望廈山市政公園、螺絲山公園、馬交石砲台公園、松山市政公園、盧廉若公園で業務にあたっており、草むらを歩いたことがあったが、潜伏期間中の外遊歴はなかったとのこと。

 マカオでツツガムシ病の感染者が確認されるのは今年4人目で、すべて5月初旬以降の事案。輸入性とみられる1人を除く3人については、マカオ半島北部の望廈山市政公園の草むらの中を歩いたという共通点があった。マカオで輸入性ではないツツガムシ病の感染例が見つかるのは極めて稀なケース。

 ツツガムシ病は日本で第4類感染症に指定されており、ツツガムシリケッチアと呼ばれる病原体の感染によって引き起こされる、人獣共通感染症のひとつ。野ネズミなどの哺乳類に寄生するダニの一種、ツツガムシのうちの一部が媒介者となる。ツツガムシが生息する野山や河川敷で罹患することが多い。ツツガムシ病の初期症状はインフルエンザににており、食欲減退、頭痛、悪寒、高熱などがみられ、4、5日目には発疹が現れる。放置すると肝臓や腎臓の機能にも影響が及ぶといわれる。現在、予防ワクチンはなく、抗生物質を服用することが有効な治療法とされているとのこと。

 SSMでは、野外活動の際にむやみに草むらに入らない、肌の露出が少ない服装を心がける、ダニに効く虫除けスプレーなどを使用するなど、感染防御策を徹底するよう市民に呼びかけている。

望廈山市政公園(資料)-本紙撮影

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