香港の新型コロナ新規感染者数が2ヶ月ぶり1千人超に=6/15

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、近日は再び増加に転じている。

 香港衛生当局が6月15日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から310人増の1047人(市中971人、輸入性76人)とのこと。1千人超となるのは4月14日以来、約2ヶ月ぶり。第5波開始以来の累計感染者数は約120.9万人。新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9179人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。

 当局は前日の会見で、近日のリバウンドについて、ソーシャルディスタンス措置の緩和による人流及び社交活動の増加との関連性を指摘し、月内にも単日の感染確認例が1千人を超えるとの予想を明らかにしたばかりだった。15日夕方の会見では、直近2週間は流行が拡大しているものの、爆発的な増には至っていないとし、ワクチン接種率の上昇や多くの人が感染後に免疫を獲得したことと関連するとの見方を示し、ワクチン未接種者に対して速やかに接種を受けるよう呼びかけた。

 また、このところオミクロンBA2.12.1の市中感染確認が相次ぎ、感染経路不明のケースも多い。患者の出現範囲も香港のほぼ全域に及んでいるという。

 このほか、明日(16日)から14日間にわたってバーやナイトクラブへ入店する際に24時間以内の迅速抗原検査陰性証明の提示を必須とする措置が講じられる予定。

 6月14日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.4%(1回目の接種完了)、87.9%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。14日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万8969回で、7日移動平均は2万0895回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(75.04%)、70〜79歳(81.44%)、80歳以上(68.39%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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