マカオ、市中陽性者の増加止まらず…新たに70人、6/18以来の累計484人に

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入(感染源不明)し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。発生から10日間が経過しているものの、依然として市中陽性者の増加が止まらない状況。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月29日午前、6・18アウトブレイクに関する各種最新情報を発表した。

 29日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は70人(一般市中50人、隔離対象20人)で、6月18日以降の累計は484人に。前日から13人増となったほか、一般市中で発見に至った割合が上昇したのも気がかりだ。市中に見えない伝播チェーンが存在し、潜在的陽性者が一定数いる状況が伺える。

 29日午前8時までに隔離検疫の対象とされた人の数は9476人に上るとのこと。内訳は、陽性者484人、濃厚接触者が1437人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が6258人、二次濃厚接触者が354人、一般接触者が294人、付き添い人が649人。隔離対象者の数も日を追うごとに増えている。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが複数回にわたって実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。直近では、27日午前9時から28日午後6時の間に3回目の全市民PCR検査を展開。検査前に迅速抗原検査を各自で行い、結果が陰性の場合のみ会場へ向かい、陽性となった場合は同住者全員が自宅待機し、救急車を呼ぶよう求めた上で実施されたもの。約65万2544人が受検し、29日午前9時までに59万1955人について結果が陰性と判明したが、混合サンプル(10人分の検体を1本とする方式)39本が陽性だったとのこと。PCR検査前の迅速抗原検査で陽性となったケースも27日夕方までに41人いたという。3回目の全市民PCR検査を終えたばかりだが、29日と30日にそれぞれ1回ずつの迅速抗原検査実施が新たに要求された。なお、迅速抗原検査キットは全市民PCR検査時に会場で無償配布された。

 複数の陽性者が出現したことで局地ロックダウンの対象とされる場所(ビル及び店舗単位)も次々と出現している。予防措置として高齢者介護施設についても閉塞管理に。また、レストランのイートイン営業が禁止(テイクアウトに限った営業は可)、映画館やフィットネスクラブなど屋内エンターテインメント・レジャー施設も閉鎖に。政府部門や銀行の窓口の休業も7月1日まで延長され、当局は民間企業についてもテレワークなどを活用し、人流減に協力するよう呼びかけている。なお、局地ロックダウン対象場所を除いて、市民の外出は可能な状況となっているが、政府は伝播リスク軽減のため、不要不急の外出を控えるよう求めている。25日からは公共路線バスの間引き運転(路線により4〜60%減)が開始されたほか、警察官の巡回を増やし、人の集まる状況を発見した場合に警告を発するようになった。なお、カジノ施設については、局地ロックダウン対象となっているホテルフォーチュナ内の施設を除いて営業を継続しているが、入場にあたって48時間以内のPCR検査陰性証明及び毎日の迅速抗原検査陰性結果の提示を必須とするなど防疫措置が強化されている。

 度重なる全市民対象検査を経ても、連日2桁の新規陽性者が出現する状況で、オミクロンBA.5.1の感染力の強さをあらためて実感させられる。これまでのところ具体的な感染源に関する情報は公表されておらず、調査が難航しているものとみられる。

6・18アウトブレイク後3回目の実施となった全市民PCR検査会場の様子(写真:GCS)

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