マカオで3週間続くオミクロンBA.5流行状況が緩和傾向…全市民対象検査結果で明らかに

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、ここまで3週間にわたって陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入(感染源不明)し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月10日午後5時から定例会見を開き、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表した。

 10日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は93人で、前日から22人増。4日ぶりに増加となった。このうち隔離対象(局地ロックダウン対象ゾーン内及び隔離検疫ホテル)から発見に至ったのが59人、一般市中からが34人(濃厚接触者12人、全市民PCR検査及び重点検査対象16人、その他6人)とのこと。隔離対象から発見に至ったケースが前日に続いて過半数を占めた。

 6月18日以降の累計陽性者は1467人で、内訳は女性791人、男性が676人、年齢3ヶ月〜100歳、症状あり(感染確認)が536人、無症状が931人、死亡者2人。10日までに治癒して退院した人の数は93人で、10日単日では36人。

 10日午後3時までに疫学調査の対象とされた人の数は1万9015人に上った。内訳は陽性者1467人のほか、核心濃厚接触者が2936人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が1万0767人、二次濃厚接触者が845人、一般接触者が255人、付き添い人が761人。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施されている。目下、7月10日から17日までの8日間にわたって4回(6月19日以降で7、8、9、10回目)の全市民PCR検査が実施されており、期間中は毎日の迅速抗原検査のセルフ実施も求められる。

 全市民PCR検査を通じて陽性者が発見されるケースは7月4日から9日にかけて実施された4回目以降で減少傾向にある。陽性反応が検出された混合検体(10人分で1本)の数は、4回目が94本だったが、5回目は41本、6回目は23本に。また、同じ時期に毎日実施が求められた迅速抗原検査経由の陽性報告数についても、4〜6日の1日平均が約22人、7〜9日は10人で、これらの結果から、近日は流行状況が緩和傾向との見方が示された。単日の新規感染確認数が増加に転じたことについては、追跡などによるタイムラグが発生したためと説明している。なお、10日午前9時にスタートした7回目のPCR検査についても、同日午後3時までに約17.6万人が受検し、すでに約3万人分が陰性と判明しているほか、陽性反応が検出された混合検体はないという。

 目下、陽性者が出現した場所(ビル及び店舗単位)に対する局地ロックダウンや各種人流抑制策などが講じられているが、追加の特別措置として、7月11日午前0時から7日間にわたり”社会相対静止”を実施する行政長官令が発出された。

 期間中、社会運営及び市民の生活維持に必要とされる(インフラ、燃料、食料、薬局など)以外の企業・事業場所の運営は停止が求められる。カジノも閉鎖に。

 また、ステイホームを基本とし、外出は全市民PCR検査受験や業務上必要な場合、生活物資の購入、緊急要件に限るとされ、成人はKN95規格以上のマスクを着用することが求められる。

 セミロックダウンともいえる厳しい内容だが、政府は特別措置を講じることで、ゼロコロナ達成時期を早めたい意向を示している。

7月10日からスタートした「6・18アウトブレイク」後で7回目となる全市民対象PCR検査会場の様子(写真:GCS)

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