香港の新型コロナ新規感染確認者数が8日連続3千人超…大半が市中感染例、入院患者1千人超=7/20

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が7月20日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から606人増の3625人、輸入性は57人減の180人だった。

 市中と輸入性の合計は前日から549人増の3805人で、8日連続3千人超。第5波開始以来の累計感染確認数は約129.2万人。

 医管局からの新規死亡報告数は1人(67歳男性)。第5波開始以来の累計死亡者数は9232人に。また、現時点の新型コロナ患者の入院数は1207人で、このうち146人が新規入院、入院患者のうち17人が危篤状態、32人が深刻な容体とのこと。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。状況を踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせとなっており、少なくとも7月27日までは現状維持が決まっている。

 20日の学校からの陽性報告数は299校の364人で、内訳は生徒293人、教職員71人。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。このところ医管局職員の感染例も増えており、医療システムへの影響が懸念されている。

 変異株感染疑い例については、18日までの累計でBA.2あるいはBA.2.12.1が1093人、BA.4あるいはBA.5が372人に上るとのこと。当局では、BA.5は最も感染力が強い変異株とされるが、これまでのところ重症例が増えているようにはみえず、20日からはBA.2.12.1、BA.4あるいはBA.5感染疑いの患者と濃厚接触者の隔離・検疫要件について、BA.2.2と同様の扱いとし、条件に合えば自宅での隔離検疫を可能にしたことを明らかにした。

 7月19日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.9%(1回目の接種完了)、89.2%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。19日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万1620回で、7日移動平均は1万2077回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(76.76%)、70〜79歳(82.05%)、80歳以上(69.7%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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