オミクロンBA.5流行のマカオ、一般市中からの陽性者がゼロに…6月18日のアウトブレイク発生後で初

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、ここまで約1ヶ月にわたって陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入し(感染源不明)、伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとっては大きな脅威だ。政府は高頻度の全市民対象PCR検査や”社会相対静止”といった厳格な防疫措置を講じ、ゼロコロナ目標の達成を目指している。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月22日午前、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表。

 7月22日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は前日から7人減の5人で、2日連続減。すべて隔離対象(局地ロックダウン対象ゾーン内及び隔離検疫ホテル)から発見に至ったケースで、一般市中からは6・18アウトブレイク発生後初めてゼロとなった。

 6月18日以降の累計陽性者は1800人。

 22日午前8時までに疫学調査の対象(隔離)とされた人の数は2万2525人に上った。内訳は陽性者1800人のほか、濃厚接触者が3518人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が1万2115人、二次濃厚接触者が1340人、一般接触者が256人、付き添い人が783人。

第12回の全市民PCR検査で陽性者1人が発見されたことを受け局地ロックダウン対象となったマンションにおける大規模清掃・消毒作業の様子(写真:IAM)

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施されている。7月10〜23日にかけては高頻度の全市民PCR検査が実施されており(2日毎受検、6月19日以降で7〜13回目)、期間中は毎日の迅速抗原検査のセルフ実施も求められる。現在、13回目の検査が実施中(22日午前8時〜23日午後7時)。2週前の第4回以降、回を重ねるごとに混合検体(10人分で1本)の陽性反応検出数は減少傾向にある。具体的には第4回が94本、第5回が41本、第6回が23本、第7回が17本、第8回が13本、第9回が9本、第10回が5本、第11回が2本、第12回が1本。

 7月11日以降、マカオは特別防疫措置による”社会相対静止”状態にあり、社会運営及び市民の生活維持に必要とされる(インフラ、燃料、食料、薬局など)以外の企業・事業場所の運営がストップしている。ステイホームが基本で、外出は全市民PCR検査受検や業務上必要な場合、生活物資の購入、緊急要件に限るとされ、成人はKN95規格以上のマスクを着用することが求められる。本特別措置は本来7日間の予定だったが、5日間の延長となった。ただし、近日は一般市中からの陽性者及び全市民PCR検査の混合検体からの陽性反応検出数が減少傾向にある状況を踏まえ、23日から次のステージとなる「コンソリデーション期」へ移行する。期間は1週間で、ステイホーム推奨や外出時KN95規格以上のマスク着用義務は維持されるものの、カジノ施設を含む商工業活動が同一出勤人数などの防疫要件を満たした上で部分的に再開可能となる。PCR検査については全市民規模での実施は7月30、31日の2日間のみとされたが、迅速抗原検査は毎日実施し、結果報告が求められるほか、重点対象(清掃、ビル管理、警備など特定職種従事者、マカオ半島新橋及び下環エリアの特定区域内居住・活動者、フィリピン国籍者)及び仕事で外出する人については1日1回または2日に1回のPCR検査が必須に。

 ここまで局地ロックダウン、社会相対静止、高頻度PCR検査といった厳格な防疫措置を講じたことで、アウトブレイク発生から1ヶ月余りで一般市中におけるゼロコロナの達成に至った。政府はコンソリデーション期を通じ、市中に残る潜在的な伝播チェーンの寸断を図ることでゼロコロナ状態をより確実なものとし、正常化を実現したい考え。

コンソリデーション期への移行とともにカジノも営業再開可能に。再開を前に実施された清掃・消毒作業の様子(写真:DICJ)

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