香港の新型コロナ新規感染確認者数が6日連続6千人超…入院患者増受けの病床確保進む=8/23

 人口約730万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月23日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から30人増の6410人、輸入性は7人増の244人だった。

 輸入性の感染例の発見に至った検査地点・タイミングは空港が125人、隔離検疫ホテルが46人のほか、隔離検疫期間(3日間)満了後の到着4〜7日目に採取した検体から発見に至ったケースが55人、同8〜14日目が18人。10人以上となった国・地域は、米国(32人)、インド(27人)、タイ(20人)、英国(18人)、フィリピン(18人)、カナダ(15人)、シンガポール(15人)、韓国(11人)。

 市中と輸入性の合計は前日から37人増の6654人で、6日連続6千人超。市中感染例に限ると5日連続。第5波開始以来の累計感染確認数は約145.9万人。

 新規死亡報告数は10人、年齢は69〜105歳で、新型コロナワクチンの3回目の接種を済ませていたのは2人のみだった。第5波開始以来の累計死亡者数は9389人に。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は2139人で、このうち新規の入院患者が310人とのこと。容体は危篤が43人、深刻が37人など。

 医管局では、入院患者数が2100人を超え、かつ増加傾向にあることを受け、第三段階病床調整プランを発動し、コロナ患者用の病床を2500〜5000床確保するとした。すでに21日夜にはランタオ島のアジアワールドエキスポ内に設営された臨時病院が再稼働済みで、現状は200床分のキャパシティだが、館内に500床分を確保できているとのこと。

 このところの感染増の要因として、主流株がオミクロンBA.5へ置き換わりつつあることが指摘されている。最新の新規感染例に占めるオミクロンBA.4あるいはBA.5の割合は37.1%で、BA.2.12.1は9%という。衛生当局は、オミクロンBA.5に置き換わる動きは世界各地で確認されており、香港のおいても想定の範囲内との見方を示した。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも8月24日までは現状維持が決まっている。8月初旬には入境者の隔離検疫期間が3日間まで短縮されており、輸入性感染例の増につながること、隔離検疫期間満了後に発見に至るケースが一定数出現することが予想されていた。

 23日の学校からの陽性報告数は81校から141人。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも散発している。

 8月22日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.3%(1回目の接種完了)、90.2%(2回目の接種完了)、70.6%(3回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。22日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万9040回で、7日移動平均は1万9819回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3歳以下(8.29%)、3〜11歳(79.58%)、70〜79歳(82.44%)、80歳以上(70.33%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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