マカオ、カジノテーブル数の上限が6千台に…ほぼ現状並みもコロナ前からは1割減

 世界に冠たるカジノ都市として知られるマカオ。現在、政府とコンセッションを結ぶ6つのライセンス事業者が約40のカジノ施設を運営している。

 ただし、現行コンセッションは今年(2022年)12月末に満期を迎える予定。目下、次期コンセッションの入札プロセスが進む。

 次期コンセッションの再入札プロセス開始を前に、政府はおよそ20年前に制定されたカジノ法について、状況の変化に対応した内容への改正を実施した。

 改正カジノ法には多くの注目点があるが、そのうちのひとつが「テーブル及びマシン台数キャップ(上限)」及び「1台あたりの売上下限」を設け、数値については首長の行政長官が定めるとしたこと。8月26日付のマカオ特別行政区公報にこれに関する行政長官令が掲載され、具体的な内容が明らかとなった。

 全コンセッション事業者が経営できるゲーミングテーブルの総数は6000台、ゲーミングマシン(スロットマシン等)は1万2000台に定められた。

 また、ゲーミングテーブル1台あたりの年間売上(粗収益)下限は700万パタカ(日本円換算:約1億1852万円)、ゲーミングマシンについては同30万パタカ(約508万円)とし、それぞれ下限をクリアできなかった場合は下回った場合には、政府に対して規定に基づく計算方式による差額の支払いが必要となる。

 いずれも次期コンセッションの開始日にあたる来年1月1日から適用される。

 現状、マカオではテーブル及びマシン台数キャップと1台あたりの年間売上下限の設定はなく、ゲーミングテーブル及びスロットマシンの新規割り当ては、新施設の開業時などにコンセッション事業者から政府に申請を出し、認可を受けるかたちとなっている。現行コンセッションの初期には新施設オープンが続き、認可台数が急増したが、2013年から抑制に舵を切り、2022年までの10年間の年平均カジノテーブル台数増加率を3%以内とし、認可にあたってノンゲーミング(非カジノ要素)に対する投資規模を審査基準とすることが原則とされた。

 新たに台数上限と売上下限を設けることについて、政府はコンセッション事業者がそれぞれ割り当てられたテーブル・マシンを有効活用することを促す意向があると説明している。

 なお、最新データによる今年6月末時点のマカオで稼働中のゲーミングテーブル数は6006台、ゲーミングマシンは1万2042台で、ほぼ今回示された台数上限そのままといえる。ただし、コロナ禍インバウンド旅客数減に伴う需要減を反映した数字でもあり、コロナ前の2019年末時点ではゲーミングテーブル数が6739台、ゲーミングマシンが1万7009台だった。

 売上下限については、単純計算でゲーミングテーブル6000台×700万パタカとゲーミングマシン1万2000台×30万パタカを合計して456億パタカ(約7721億円)となる。コロナ禍でカジノ売上は低迷しており、コロナ前2019年が年間約2925億パタカ(約4兆9526億円)に対し、今年の見通しは約500億パタカ(約8466億円)にとどまるが、下限は上回ることになる。

 台数上限、売上下限とも、コロナ禍で最悪の市場状況を踏まえたものといえ、コンセッション事業者にとって売上下限はプレッシャーを感じるほどではないとみられる。しかし、仮に現行の6社が揃って次期ライセンスを獲得したとして、テーブル及びスロットマシンの割り当てが現状維持となるのか、シャッフルして再割り当てとなるのかは、たいへん気にかかるところだろう。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

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