香港の新型コロナ新規感染確認者数が再び8千人台に…オミクロンBA.4/BA.5の占める割合が約5割まで上昇=8/27

 人口約730万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月27日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から560人増の8225人、輸入性は62人増の232人だった。

 輸入性の感染例の発見に至った検査地点・タイミングは空港が108人、隔離検疫ホテルが47人のほか、隔離検疫期間(3日間)満了後の到着4〜7日目に採取した検体から発見に至ったケースが58人。10人以上となった国は、英国(31人)、フィリピン(30人)、タイ(24人)、米国(22人)、カナダ(17人)、インド(17人)、シンガポール(11人)。

 市中と輸入性の合計は前日から622人増の8457人。2日ぶりに8千人超となった。第5波開始以来の累計感染確認数は約149.2万人。

 新規死亡報告数は4人、年齢は69〜91歳で、このうち2人が新型コロナワクチンの3回目の接種を済ませていなかった。第5波開始以来の累計死亡者数は9441人に。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は2387人で、このうち新規の入院患者が357人とのこと。容体は危篤が39人、深刻が33人など。

 入院患者数の増が続く中、21日夜にランタオ島のアジアワールドエキスポ内の臨時病院が再稼働したほか、23日には公立病院における第三段階病床調整プランが発動され、臨時病院の容量拡大と併せてコロナ患者用の病床は2500〜5500床を確保できる状況となっている。一方で、緊急性を要しない医療サービスに影響が生じ始めている。

 このところの感染増の要因として、主流株がオミクロンBA.5へ置き換わりつつあることが指摘されている。衛生当局によれば、最新の8月24日の感染例で、オミクロンBA.4あるいはBA.5感染疑いの全体に占める割合が48.6%まで上昇し、かつ大多数がBA.5だったとのこと。BA.5へ置き換わる状況は想定の範囲内だが、感染力が強いことから、今後いつピークを迎えるかは予想し難いとした。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも9月7日までは現状維持が決まっているが、8月28日から追加の防疫措置として宴会参加者に対して24時間以内の迅速抗原検査陰性証明の提示を求める措置が講じられる。

 8月26日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.3%(1回目の接種完了)、90.3%(2回目の接種完了)、71.0%(3回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。26日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万4987回で、7日移動平均は1万9321回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3歳以下(9.45%)、3〜11歳(79.9%)、70〜79歳(82.48%)、80歳以上(70.39%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

ワクチン接種デーイベント会場で児童への接種の様子を視察する香港政府公務員事務局の楊何蓓茵局長(後列左2)=2022年8月25日(写真:news.gov.hk)

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