マカオ、新型コロナが風土病扱いに…共存モデルに完全移行

 マカオは昨年(2022年)12月初旬に長く続いたゼロコロナからウィズコロナへ転換。約1ヶ月の過渡期を経て、1月8日から完全に共存モデルへ移行した。新型コロナは風土病(Endemic)扱いとされ、ほぼコロナ禍以前の状況に復帰したといえる。

 例を挙げると、新型コロナに絡む水際措置がほぼ撤廃された。入境時の隔離検疫はもとより、PCR検査陰性証明の提示も不要に。海外から入境する場合でも迅速抗原検査(簡易検査)の陰性結果をオンライン報告するのみで済む。

 域内の防疫措置についても健康申告が不要となり、行動制限を伴う健康コードの赤色、黄色が撤廃に。施設入場時等に健康コードを求められることもなくなった。

 つまり、海外からマカオを訪れるツーリストが入境後に検査や行動制限を求められることは一切なく、コロナ前と同様に過ごすことができる状況だ。

 先の過渡期の間、特に12月下旬にかけて流行が急拡大し、政府発表によれば1月4日までに人口(約68万人)の6〜7割程度が感染したとのこと。マカオはワクチン接種率が高く(日本のファイザーに相当する独ビオンテック製mRNAワクチンも導入されている)、自然感染者を含め、すでに集団免疫を獲得できているとの見方もある。

 マカオ政府は新型コロナが消失したわけではなく、今後も世界各地と同様に一定の流行ピークが出現するとの予測を示した上、自然感染及びワクチンで獲得した免疫は3〜6ヶ月程度持続した後に下落するとし、再感染のリスクもあることから、各自健康管理をしっかり行うよう呼びかけている。

 振り返れば、新型コロナの世界的流行が始まったのは2019年12月末頃のことだった。マカオで最初の輸入性感染例が見つかったのは2020年1月22日のこと。以降、水際措置が相次いで講じられ、海外との往来が事実上ストップするに至った。

 コロナ患者ゼロを維持した期間も長かったが、しばしば輸入性感染例を発端とした市中への流出もあり、局地ロックダウンや全市民PCR検査の実施につながった。2022年6月中旬から7月末にかけては大規模なアウトブレイクが出現し、全域レベルでの準ロックダウンに高頻度のPCR検査と迅速抗原検査実施などを経て封じ込めに至った。

 なお、マカオが頑なにゼロコロナを貫いてきたのは、2020年第4四半期に実現した中国本土との隔離検疫免除での相互往来を維持するため、中国本土の防疫措置に合わせる必要があったためとされる。ただし、中国本土の各地で散発的に流行が出現したことや訪マカオ許可の発出に制限がかかっていたことなどから、中国本土からのインバウンド旅客数は限定的なものにとどまっていた。カジノを含むツーリズム産業が大黒柱のマカオ経済はインバウンド依存度が極めて高く、コロナ禍で長期にわたる停滞を余儀なくされた。今後、インバウンド旅客数の増が予想され、マカオ経済も回復に向かうとみられる。

多くの観光客で賑わうマカオ随一の観光名所、世界遺産聖ポール天主堂跡前=2023年1月8日本紙撮影

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