マカオのカジノで大量の偽造チップ使われる…被害額約1億円、中国人犯罪グループが関与

 マカオ司法警察局は8月23日、偽造ゲーミング(カジノ)チップをカジノ施設での賭博に使用したり、両替を通じて他人に提供したとして中国人の男2人(いずれも中国本土からマカオ入りした無職の30代)を逮捕したと発表。

 同局によれば、同月21日夜にコタイ地区にある統合型リゾート(IR)併設のカジノ施設からカジノディーラー職が客から回収した額面1万香港ドル(日本円換算:約185万円)のチップ10枚の手触りに違和感を覚え、専用の機器で検査したところ、所定のICタグが埋め込まれていない偽造チップであることがわかったとの通報があったとのこと。カジノスタッフが施設内で当該チップを使用したとみられる2人を見つけ出し、取り押さえることに成功。この際、2人は額面1万香港ドルの偽造チップ182枚、同5万香港ドル(約92万円)の偽造チップ14枚、同1千香港ドル(約1.9万円)の本物のチップ5枚を所持していたという。

 その後の同局の調査及び分析により、同日同施設でおよそ2時間にわたり8人のグループが偽造チップを使用していたことが判明。取り押さえられた2人を除く6人がカジノ側に見つかったことに気づいて逃走を図り、うち2人はすでにマカオ半島北部の關閘イミグレーションから中国本土で向けて出境していたという。また、6人が逃走途中に偽造チップをゴミ箱に捨てたことも確認され、同局がゴミ処理場を捜索して額面1万香港ドルの偽造チップ112枚と同じ額面の本物のチップ2枚を発見。同局が発見に至った偽造チップの数は804枚に上ったとのこと。同局では、このグループがカジノで額面1万香港ドルのチップ493枚を使用し、ゲームで勝ち約70万香港ドル(約1294万円)の配当を得ていたとし、カジノ運営会社の被害額は少なくとも576.5万香港ドル(約1億0655万円)との見込みを明らかにした。このほか、十数人のカジノ客がこのグループから両替を通じて計17枚の偽造チップを手にしたという。

 現場で取り押さえられた男2人の身柄は司法警察局に引き渡され、同局の調べに対して1人は完全黙秘を貫いているものの、もう1人はチップの入手経緯について中国本土で十数万人民元で額面1万香港ドルのチップ100枚の購入を申し込み、マカオ到着後に受け取ったが偽造とは知らなかったと供述し、その他の質問には回答を拒否しているという。同局は2人を組織犯罪及び相当巨額詐欺罪で検察院送致するとともに、逃走中の人物の追跡を進めているとした。

 カジノチップはカジノフロアにあるキャッシャーと呼ばれるカウンターで容易に額面の現金と交換することができる。つまり、現金そのもの。マカオでは、しばしばチップを狙った犯罪が発生している。

マカオ司法警察局(資料)=本紙撮影

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