香港国際空港の制限エリアとマカオを45分で結ぶ直通バスが開通…期待高く順調なスタート

 香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港珠澳大橋経由の陸路で直通するクロスボーダーバス「澳門香港機場直達(Macao HK Airport Direct)」がきょう(8月30日)開通し、これに絡む各種新サービスもスタートした。

 香港とマカオはいずれも中国の特別行政区で、両地を往来する場合、それぞれのイミグレーション施設で通関手続きを受ける必要がある。今回登場した直通バスは、日本を含む世界各地からのフライトで香港国際空港に到着した後、到着階にある専用カウンターでバスへの乗り継ぎ手続きを済ませ(バゲージタグを提示することで出発地で預け入れをした手荷物もマカオまでスルーで届けられる仕組み)、「スカイピア」と呼ばれる乗り継ぎ施設からマカオへ向かうもので、香港国際空港での乗り継ぎ(トランジット)扱いになることから、香港の出入境手続き及び香港国際空港と港珠澳大橋の間の移動も不要となり、大幅に手間と時間を短縮することができる。直通バスを利用した場合の香港〜マカオ間の所要時間は約45分とのこと。

直通バスを利用して香港国際空港からマカオへ到着した旅客を出迎えるマカオ政府旅遊局の許耀明局長代理(写真:MGTO)

 マカオから香港国際空港に向かう場合も基本的に同様のメリットがある。また、直通バスの開通に合わせてマカオの発着点となる港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設内に香港国際空港のチェックインカウンターも開設され、マカオでバスに乗車する前にフライトのチェックイン手続き(航空券発券)と目的地までの荷物の預け入れを済ますことができるのも大きな特長といえるだろう。さらに、マカオから香港国際空港へ向かうルートの場合、香港国際空港到着後に専用カウンターで香港国際空港の離境税分が返金される。

 直通バスの運行スケジュールは、運行開始の初期段階で午前7時半から午後7時半まで毎時1本となっている。今後、利用状況などをみた上で増便を検討するとしており、最終的には24時間体制を目指すとのこと。運賃は大人片道280香港ドル/マカオパタカ(日本円換算:約5000円)で、運行開始から2ヶ月間はプロモーション運賃として大人片道250香港ドル/マカオパタカ(約4500円)。

港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設内に開設された香港国際空港のチェックインカウンターを視察するマカオ政府旅遊局の許耀明局長代理(写真:MGTO)

 同様の手続きで香港国際空港の制限エリアとマカオを結ぶ直通フェリーも存在するが、コロナ前には一定数の便数が運航されていたものの、コロナ禍で長期運休を余儀なくされ、アフターコロナで運航再開を果たしたものの、週に3往復(マカオ側はタイパフェリーターミナル発着のみ)にとどまっている。今回開通した直通バスの所要時間は、直通フェリーより30分程度短い。

 マカオ政府旅遊局(MGTO)が8月30日午後に発表した内容によれば、同局が開通初日の直通バス及びマカオ側のチェックインカウンターの運営状況を視察したところ、順調なスタートだったとした。同局では、直通バスの開通によってマカオとの間で直行便が就航していない世界各地から香港を経由してマカオ入りする旅客の利便性が飛躍的に向上し、マカオの国際旅客ソース拡大につながると期待しており、オンライン及びオフラインでの宣伝展開や海外の旅行業界関係者らに直通バスの利便性を体験するツアーを組むなどして積極的に周知を図っていくとした。

マカオ政府旅遊局の観光案内所に掲出された直通バスの告知に見入る旅客(写真:MGTO)

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