マカオ税関、6日間で密輸事案95件摘発…越境自家用車内に隠したり身体に巻き付けるなどの偽装も多数

 澳門海關(マカオ税関)は11月5日、運び屋による密輸への取り締まり体制を維持し、各イミグレーション施設における税関検査を強化して臨む中、10月30日から11月4日までの6日間で密輸事案(密輸入及び密輸出)計95件を摘発したと発表。

 密輸事案があったイミグレーション施設は關閘、港珠澳大橋、青茂、マカオ国際空港、横琴で、密輸品の内訳は紙巻きたばこ1万0860本、コスメティック製品1022点、薬品1万4054粒及び178点、中古スマートフォン296台、中古電子たばこパーツ344点、電子たばこ用スティック1600本、シガー670.8グラム、ヘルス用品55点、(無申告持ち込み限度を超える)多額の現金40万香港ドル(日本円換算:約765万円)、カメラ・レンズ10台、食材683キログラムとのこと。

大量の中古スマートフォンをラップで身体に巻き付け密輸を図ったケース(写真:澳門海關)

 このうち越境自家用車による密輸事案は3件。關閘、港珠澳大橋、横琴の各イミグレーションの自動車用税関検査レーンにおいて、税関のリスク管理システムによる警戒アラートの対象となった越境自家用車に対して大型X線貨物・車両検査システム及び上方照射式車両検査システムを組み合わせた検査を実施した結果、それぞれ車内から高級食材(乾物)3.8キログラム、未検疫食材18.7キログラム、牛もつ及び冷凍肉580キログラムが見つかった。

 このほか、スーツケースの中に大量の中古スマートフォンや上海蟹を隠し持っていたり、菓子の紙箱の中にコスメティック製品を偽装する事案、また税関検査場通過時の動作が不自然なことから呼び止めて検査を行った際にラップで大量の中古スマートフォンを身体に巻きつける事案などがあったとした。

 上記95件の密輸事案に関与した95人は20〜72歳のマカオ居民、香港居民、中国本土居民で、いずれのケースも発見された物品の輸出入に必要となる書類を提示できなかったことから、税関では全員を対外貿易法違反=最大10万パタカ(約185万円)の罰金=で起訴するとともに、発見に至った物品を押収済みとした。

越境自家用車による牛もつ及び冷凍肉密輸事案の検査結果(写真:澳門海關)

 年初のウィズコロナ転換による水際措置の緩和を受けて、マカオと中国本土、香港との相互往来が容易になって以降、運び屋が絡む密輸入、密輸出事案が摘発されるケースが増えており、密輸品の種別では中古スマートフォン、中古バッテリー、冷凍肉、乾物、コスメ・スキンケア用品などが目立つ。近年、マカオ登録の自家用車が比較的簡単な手続きで広東省に乗り入れ可能となる政策が導入されたことを受け、マカオと中国本土との間の自家用車での往来も増えている。

 税関では、市民に対して出入境における携行品の出入りに関する法令の遵守、また報酬を目当てに物品を隠したり偽装したりして違法な運搬活動(いわゆる運び屋行為)へ従事しないこと、さらにはリスク回避のため来歴不明の食品の購入を避けるよう累次の呼びかけを行うとともに、今後も継続して水際における各種取り締まりを強化して臨むとした。

菓子の紙箱の中にコスメティック製品を偽装した例とスーツケースの中から見つかった上海蟹(写真:澳門海關)

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