マカオ、模擬紙幣を使った両替詐欺が同日内に2件発生…中国人違法両替商2人逮捕

 マカオ司法警察局は11月20日、同月19日に「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニング用の香港ドル模擬紙幣が使われた両替詐欺が2件発生し、マカオで違法両替に従事していた30代の中国人(中国本土居民)の男2人を逮捕するとともに、練功券400枚を押収したと発表。

 同局によれば、被害者は2人で、被害額は合計およそ40万人民元(日本円換算:約760万円)とのこと。最初の事案は、被害者がカジノ遊びに使うため香港ドルが必要となり、人民元から香港ドルへ両替するためSNSのチャットアプリを通じて「換銭党」と呼ばれる違法両替商と連絡を取り、面会して取引を行った際、被害者が相手方指定の銀行口座に人民元を送金した後、手渡された香港ドル紙幣の色味がおかしく、券面に練功券の文字があったため、騙されたと気づいて警察に通報したもの。

 2つ目の事案についても両替に至るまでの経緯はほぼ同様で、面会した際に相手先指定口座への送金が完了した直後、相手が突然逃げ出したため、追いかけて取り押さえ、その場で20万香港ドル(約380万円)分の紙幣を受け取ったが、本物は1枚だけで、残りはすべて練功券だったという。

 同局の調べに対し、被疑者2人はいずれも犯行を認め、他人の指示を受けて練功券をマカオへ持ち込み両替を行ったなどとし、うち1人は成功した場合に報酬を得られる約束だったと供述。同局は2人を相当巨額詐欺罪で検察院送致済みとした。

 マカオのカジノでプレイする際には主に香港ドルが用いられることから、中国本土から人民元を持ち込む旅客にとって香港ドルとの両替が必要となるケースがある。

 練功券は通貨としての価値がなく、一般に流通しているものではない。これまでもマカオではこれを用いた詐欺事件がしばしば発生していたが、前月下旬以降からは頻発している状況で、同局が累次の注意喚起を行っている。

 昨今マカオのカジノ施設内外においては換銭党が暗躍し、これにまつわる各種犯罪も頻発しており、警察当局が換銭党を社会及びカジノにおける治安悪化の元凶と位置付け、度々大規模掃討作戦を展開するなど、取り締まりを強化して臨んでいる。

模擬紙幣を使った両替詐欺事件の証拠品(写真:マカオ司法警察局)

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