マカオ、模擬紙幣を使った両替詐欺が2日連続発生…中国人の男女2人逮捕、2件合計被害額約1千万円

 マカオ司法警察局は11月24日、同月21日と22日に「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニング用の香港ドル模擬紙幣が使われた両替詐欺が各1件発生し、中国人(中国本土居民)の男女各1人を逮捕するとともに、練功券を200枚ずつ、計400枚を押収したと発表。

 同局によれば、被害者は2人で、被害額は合計約48万人民元(日本円換算:約1012万円)に上ったとのこと。

 21日の事案は、被害者が香港ドルを調達するためSNSのチャットアプリを通じて「換銭党」と呼ばれる違法両替商の女と両替に関する協議を行い、タイパ島にあるホテルの客室で面会して取引を行った際、被害者が相手方指定の銀行口座に人民元を送金した後、女が香港ドルの札束2つを渡してすぐに現場を立ち去ろうとしたといい、これを怪しいと感じた被害者が受け取った紙幣を確認したところ、最上部の1枚のみ真券で、残りはすべて練功券だったという。

 被害者から通報を受けた警察官が現場へ急行し、現場で200枚の練功券を発見、押収するとともに、違法両替商の女を逮捕。女は同局の調べに対し、成功報酬を目当てに他人の指示を受けて練功券をマカオへ持ち込み両替を行ったとし、練功券とは知らなかったと供述。また、女は逮捕時に中国本土の偽造身分証を4枚所持していたが、これについての説明は拒否しているとのこと。

 22日の事案についても、経緯はほぼ同様。同じく、被害者が送金後に手渡された紙幣のうち最上部の1枚のみが真券で、逮捕された男は成功報酬を目当てに他人の指示を受けて練功券をマカオへ持ち込み両替を行ったが、練功券とは知らなかったと供述したという。

 同局は上述の2人について、相当巨額詐欺罪で検察院送致済みとした。

模擬紙幣を使った両替詐欺事件(21日の事案)の証拠品(写真:マカオ司法警察局)

 マカオのカジノでプレイする際には主に香港ドルが用いられることから、中国本土から人民元を持ち込む旅客にとって香港ドルとの両替が必要となるケースがある。

 練功券は通貨としての価値がなく、一般に流通しているものではない。これまでもマカオではこれを用いた詐欺事件がしばしば発生していたが、前月下旬以降からは頻発している状況で、同局が累次の注意喚起を行っている。

 昨今マカオのカジノ施設内外においては換銭党が暗躍し、これにまつわる各種犯罪も頻発しており、警察当局が換銭党を社会及びカジノにおける治安悪化の元凶と位置付け、度々大規模掃討作戦を展開するなど、取り締まりを強化して臨んでいる。

模擬紙幣を使った両替詐欺事件(22日の事案)の証拠品(写真:マカオ司法警察局)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  2.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…
  3.  ユネスコのアジア太平洋地域世界遺産研修研究所は7月23日、第46回国連大会が開催中のインド・ニュ…
  4.  マカオ司法警察局は7月25日、マカオで覚醒剤の密売したとしてタンザニア人旅客の20代の男を逮捕し…
  5.  マカオ治安警察局は7月25日、カジノ施設が集積するマカオ半島新口岸地区にあるスーパーマーケットで…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun