マカオに越境通勤時代到来 マカオ・珠海通関24時間化で 生活習慣の違いに戸惑いも

マカオと中国・珠海市の間で通関の24時間化が今年(2014年)12月18日から実現する。これまで、両地の間を結ぶ一般市民が利用できる出入境施設の通関時間は最大で午前7時から深夜24時となっていたことから、それぞれが別の生活圏という認識が強かった。

24時間通関化実現の報を受け、マカオ住民による珠海市の住宅購入に対する需要が急上昇しているという。11月22日付の地元有力紙「澳門日報」が報じた。

マカオと珠海市で最も地価が高いといわれる中心エリアの拱北地区で同等の品質の住宅価格を比較した場合、1平米あたり単価は珠海・拱北がマカオと比較しておよそ3分の1という。24時間営業のカジノが産業の中核を占めるマカオでは、シフト制で勤務する人が多く、通関時間の都合上、マカオに居住するという選択肢しかなかった。しかし、今回の24時間通関の実現により、物価の安い珠海が通勤圏となる。

マカオ・珠海間の通関24時間化が11月20日に発表されて以降、マカオ住民が珠海の不動産を買い求める動きが活発化しているという。ある不動産サイトでは、20日だけで700件の購入契約があり、前月の1ヶ月分にあたる698件を1日で上回ったという。前年11月の契約件数は380件だったことから、今年11月は2倍以上になるだろうとのこと。

一方、マカオ政府消費者委員会は、マカオと中国本土では不動産の売買に関する法律、ビジネス習慣などが異なることから、市民に対して注意を呼びかけている。

マカオの不動産業者によると、今回の24時間通関化実現によるマカオの不動産価格への影響はそれほど大きくないと予想する。マカオ住民による珠海の不動産への需要が高まることから、珠海側の不動産価格が上昇し、マカオとの価格差が小さくなるとの見方だ。

香港と広東省・深セン市の間では、すでに24時間通関化が実現している。香港の住宅価格も高止まりしている中、深センに居住し、香港に通勤するというスタイルが定着している。マカオでも香港同様の越境通勤時代が間もなく到来する。

マカオと珠海は隣接しているが、生活習慣や社会・経済システムが全く異なるのも事実。通関24時間化で通勤圏が広がり、夢のマイホーム購入へ手が届くチャンスが増えるものの、西洋的価値観に慣れたマカオ住民にとって、中国本土での暮らしに適応できるかどうか、戸惑う声も聞かれる。

住宅や商業ビルが建ち並ぶマカオ半島の市街地。川を隔てた先が珠海市となる—本紙撮影

住宅や商業ビルが建ち並ぶマカオ半島の市街地。川を隔てた先が珠海市となる—本紙撮影

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