月に30頭の犬が殺処分=マカオの動物愛護団体がドッグレース廃止訴える
- 2015/4/6 19:13
- 社会・政治
およそ80年の歴史を持つマカオのドッグレースだが、マカオ政府が運営会社のマカオカニドローム(澳門逸園賽狗會)に与えた経営ライセンスが今年(2015年)10月末日で満期を迎える、存続か廃止か、マカオ政府の今後の判断に注目が集まっている。
マカオカニドロームの会長職にあるのはマカオのカジノ王として知られるスタンレー・ホー氏だ。会長夫人で同社社長のアンジェラ・リョン氏は3月30日、ドッグレースはマカオ人の記憶に残る存在で、歴史的価値もあるものとし、存続を望む考えを表明。一方、会長の孫娘にあたるフェイエ・ホー氏が名誉会長を務めるマカオの動物愛護団体アニマ(ANIMA)は動物虐待であるとし、廃止を求める署名運動などを展開している。
アニマは4月4日に記者会見を開き、ドッグレースの内情を次々と明らかにした。ライセンス契約では1日のレース数は最低12、レース開催日は年間最低160日と規定されているが、実際には1日18レース、開催日は264日となっており、契約上の最低数をそれぞれ50%、65%上回っているという。過密スケジュールによる犬の疲労、病気、ケガなどにより、多い月ではおよそ40%のレース犬がレースに出場できない状態とのこと。また、レース犬の在籍数は2014年12月が730頭、2015年1月が691頭だった。資料を元にアニマが独自調査を行ったところ、月におよそ30頭のレース犬が安楽死方式で殺処分されており、不足分はオーストラリアからの輸入で補っているという。およそ2年ですべてが入れ替わる計算とのこと。さらに、マカオのカジノについては40%のカジノ税が課せられるが、ドッグレースは25%という低税率という。ドッグレースの年間売上はカジノのたった4時間分しかなく、仮にカジノと同じ税率を適用した場合、ドッグレース運営会社の経営は立ち行かないと指摘する。
今回、ドッグレースの裏側に光を当てたアニマ現会長のアルバーノ・マルチンス氏は「犬は賭博の道具や、金儲けのために走る生き物ではない」と語り、マカオ政府に対してライセンスの延長をせず、ドッグレースを廃止するようあらためて訴えた。
ギャンブル行政を管轄するマカオ政府博彩監察局が公表しているデータを参照すると、昨年(2014年)のドッグレース売上は1億4500万パタカ(約22億円)で、カジノの3515億2100万パタカ(日本円換算:5兆2660億円)に遠く及ばない規模となっている。