マカオのホテルプール、救助員設置義務なし=死亡事故発生で法整備求める声

マカオ・コタイ地区の大型カジノIR(統合型リゾート)にある高級リゾートホテルのプールで4月3日、中国本土からマカオを訪れていた35歳の男性が溺死するという痛ましい事故が発生したことを受け、マカオではプールの安全管理に対する関心が高まっている。

マカオの日刊紙「澳門日報」が4月5日付紙面で報じた。マカオには公営と私営の大きく2種類のプールが存在し、公営プールは政府体育発展局、民政総署、教育青年局の3部門に管轄が分かれるものの、いずれも厳格な管理の下に運営されているという。一方、私営プールではホテル併設のプールが旅遊局の管轄となるが、マンションなどに併設されるその他のプールは政府の管轄外だという。

2014年末現在、マカオには66軒の営業中のホテルがあり、このうち27軒の5つ星ホテル、14軒の4つ星ホテルにプールが併設されている。政府旅遊局のガイドラインによると、各施設は安全管理、使用ルール、救命救急プログラムの策定は必須とされているが、救助員の設置については強制ではなく提案事項として盛り込まれているにすぎない。

同紙では地元の救助員の声を引用し、先進国の多くではホテルプールの営業時間中に監視や救助員の設置を義務付けるなどの施策が一般化しており、マカオのガイドラインは甘すぎると指摘している。

マカオでは、一部の大型リゾートホテルが救助員を設置しているものの、中にはプール入口に「ライフセーバー不在」の表示をしているホテルもあるといい、万が一の際に利用者の自己責任とされる懸念も拭えない。

マカオ政府は私営プールの安全管理に関する法整備を推進し、誰もが安心してプールを利用できる環境づくりが急務だ。

マカオの公営プールは政府部門の厳格な管理の下に運営される一方、私営プールに対する安全管理対策には改善すべき点が多いという。写真は複数のライフセーバーを設置するマカオ・コロアン島にある公営プール(資料)—本紙撮影

マカオの公営プールは政府部門の厳格な管理の下に運営される一方、私営プールに対する安全管理対策には改善すべき点が多いという。写真は複数のライフセーバーを設置するマカオ・コロアン島にある公営プール(資料)—本紙撮影

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