マカオ、2月カジノ売上は135.6%増の約973億円…1日平均売上コロナ影響後最多に

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は3月1日、今年(2021年)2月のマカオの月次カジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から135.6%増、前月から8.9%減となる73.12億マカオパタカ(日本円換算:約973億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比でプラスを記録したのは2019年10月以来のこと。前年同月比で大幅増となった要因については、前年の同月中旬に新型コロナウイルス感染症防疫対策の一環として全カジノ施設が15日間にわたって閉鎖されたことが挙げられる。

 マカオでは、昨年1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な水際措置が講じられており、平年と比較してインバウンド旅客数が大幅に落ち込んでいる。ただし、昨年第3四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進んでおり(詳細後述)、対前年のマイナス幅は2月まで7ヶ月連続で縮小した。2月は中国本土の多客期にあたる春節ゴールデンウィークがあったが、金額ベースで前月から下落した。この要因として、中国本土の複数地域で市中感染の再出現があり、春節前後にかけて移動を控えるよう呼びかけがなされたため、マカオ渡航を控える動きがあったことなどが考えられる。なお、2月は1月と比べて3日間短く、1営業日あたり平均では1月を上回った。

 2月の1営業日あたりの平均売上は2.61億マカオパタカ(約34.7億円)となり、コロナの影響が生じて以降の最多に。ここまでの推移は、昨年2月(2月5〜19日の休業期間を除く14日間)2.22億マカオパタカ(約29.5億円)、3月1.70億マカオパタカ(約22.6億円)、4月0.25億マカオパタカ(約3.3億円)、5月0.56億マカオパタカ(約7.5億円)、6月0.23億マカオパタカ(約3.1億円)、7月0.43億マカオパタカ(約5.7億円)、8月0.43億マカオパタカ(約5.7億円)、9月0.74億マカオパタカ(約9.8億円)、10月2.35億マカオパタカ(約31.3億円)、11月2.25億マカオパタカ(約29.9億円)、12月2.52億マカオパタカ(約33.5億円)、今年1月2.59億マカオパタカ(約34.5億円)。

 今年1〜2月累計のカジノ売上は前年同時期から39.2%減の153.36億マカオパタカ(約2041億円)で、マイナス幅は前月終了時点から24.5ポイント縮小。

 DICJは新型コロナ防疫体制下におけるカジノ営業にあたって運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲーミング(カジノ)テーブル間の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルでは1テーブルに同時に着席できるのは3〜4人)、スロットマシンについても1台または2台おきの稼動と定められ、交差感染リスク軽減が図られている。チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。再開したといっても、あくまで限定的ものだ。

 また、ゲストは入場時にマスクの着用、検温、有効な健康コード(衛生当局の専用サイト上で直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先を入力して生成されるQRコード)、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明書(マカオまたは広東省の認可施設が発出した有効期間内のものに限る)の提示が義務付けられている。

 なお、昨年通期のカジノ売上は前年から79.3%減の604.41億マカオパタカ(約7926億円)で、2年連続前年割れ。マカオ政府の2021年度財政予算におけるカジノ売上見込みは1300億マカオパタカ(約1兆7305億円)。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

【資料1】2021年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:80.24億マカオパタカ=約1068億円(63.7%減)
・2月:73.12億マカオパタカ=約973億円(135.6%増)
>1〜2月累計:153.36億パタカ=約2041億円(39.2%減)

【資料2】2013年〜2019年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆8022億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆6794億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆0729億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約2兆9713億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆5375億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆0314億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億マカオパタカ=約3兆8931億円(3.4%減)
・2020年:604.41億マカオパタカ=約8046億円(79.3%減)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  アフターコロナ初年となったマカオの昨年(2023年)通期のカジノ売上(粗収益、Gross Gam…
  3.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのイーストスクエアで4月24日、…
  4.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月24日、マカオ半島新口岸地区にあるマカオグランプリ博物館でレゴ…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun