対前年微減の訪マカオ旅客数、前年並み3150万人維持へ=政府、宣伝強化で回復図る

アジア有数の観光都市として知られるマカオ。昨年(2014年)、海外(中国本土、香港、台湾を含む)からマカオを訪れる旅客数は過去最高となる3150万人(のべ、以下同)を記録した。

カジノ経営ライセンスの対外開放によるIR(統合型リゾート)の開幕ラッシュやマカオ歴史市街地区のユネスコ世界文化遺産登録などを契機に、21世紀に入って以降、右肩上がりの成長を続けてきた訪マカオ旅客数だが、今年に入って以降、伸び悩んでいる状況だ。1〜7月の累計では前年同期比で微減となっている。マカオをめぐっては、カジノ売上についても昨年6月から前年割れが続く。

マカオ政府社会文化庁のアレクシス・タム(譚俊榮)長官は9月10日、1〜7月の累計訪マカオ旅客数は前年同期比3.5%減となったことについて地元メディアの取材に応対した。タム長官は、政府として対外宣伝強化を図る準備を進めていること、マカオ国際花火コンテスト、マカオ国際音楽フェスティバル、マカオグランプリ、マカオマラソン、ラテンパレードといった大型イベントの開催や、直近の(中国の建国記念日にあたる)国慶節連休による旅客増効果を見込むことができることを挙げ、下半期に回復に向かい、通年では前年並みを維持できるとの考えを示した。また、今年7月には宿泊を伴う旅客のマカオ滞在時間が初めて2.0日を突破したことも明るい話題とした。

マカオは中国本土からの旅客に対する依存度が約7割と非常に高い。マカオは山手線の内側のおよそ半分の面積、人口64万人という小さな街であることから、訪マカオ旅客数が過去最高を記録した昨年、中国本土の連休時期に旅客が殺到し、繁華街や交通機関の混雑によって都市機能がマヒ状態に陥ったこともある。政府が旅客数の増を目論む一方で、市民の間では日常生活への影響を懸念する声も聞かれる。これについて、タム長官は、中国国家観光局や公安部門等の関係部門に対し、特に連休時期についての旅客数のコントロールを要請したとしている。

また、中国本土以外の新マーケットの開拓については、アジアでは韓国とインドの潜在力が高いとし、今後、宣伝及びプロモーションを強化していく方針を示した。欧米からの旅客増も図りたい考えという。

マカオを訪れる旅客の減少要因として、世界各地で中国本土旅客に対するビザ緩和などの積極誘致策が広がっている上、通貨でも香港の香港ドル、マカオのマカオパタカはいずれも米ドルと為替連動していることから、円安、ウォン安、ユーロ安といった為替面で有利なエリアへの流出が指摘されている。中国本土旅客は香港とマカオをセットで訪れることも多いとされ、香港各地で発生した中国本土からの買い出し旅客に対するヘイト運動や道路占拠事件などによる間接的影響もあるとみられる。

訪マカオ旅客数の減少について地元メディアの取材に応対するアレクシス・タム(譚俊榮)マカオ社会文化庁長官=9月10日(写真:GCS)

訪マカオ旅客数の減少について地元メディアの取材に応対するアレクシス・タム(譚俊榮)マカオ社会文化庁長官=9月10日(写真:GCS)

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