マカオ航空、武漢へ派遣した居民救援用チャーター機の費用請求せず…社会的責任履行を理由に=帰還者は全員陰性

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月20日午後5時(現地時間、以下同)から開催した定例記者会見の中で、政府が封鎖中の湖北省に滞在するマカオ居民救援のため派遣したチャーター機の第一便について、運航を担当したマカオ航空から一切の費用請求しないとする連絡を受けたことを明らかにした。

 新型コロナの流行で航空業界に甚大な影響が及ぶ中、マカオ航空も大幅な減便を余儀無くされているが、社会的責任の履行を理由に全額負担を決めたと説明したといい、政府が感謝の意を表明した。

 第一便で帰還した居民は、武漢天河国際空港へのアクセスが比較的容易な(移動中の感染リスクを考慮)武漢市及びその周辺に滞在し、発熱や咳の症状、医療機関訪問歴、患者との接触歴がいずれもなく、空港まで自力で来ることができるという条件を満たした上、搭乗前の健康検査をクリアした57人。マカオ国際空港到着後、隔離場所となるコロアン島にある公共衛生臨床センターに直接移送され、潜伏期間とされる14日間の医学観察が行われた。期間中、3回(2日目、7日目、13日目)の新型コロナウイルス核酸検査(NAT=Nucleic Acid Test)を実施し、結果は全員が3回とも陰性で、発熱や呼吸器系の症状もなく、20日に医学観察期間が満了。同日午後5時から14日間の自宅待機に切り替わった。任務にあたったマカオ航空の乗員、マカオ政府関係者についても全員無事で、今回の救援任務は成功裏に終わったといえる。

 武漢を含む湖北省では、依然として封鎖が続いている。20日夕方の記者会見時点で政府が把握している現地残留マカオ居民の数は同伴親族を含めて109人とのこと。チャーター機の第二便以降の予定については発表されていない。

マカオ政府が封鎖中の湖北省からマカオ居民を帰還させるため派遣したチャーター機(資料)=2020年3月7日、マカオ国際空港(写真:GCS)

 マカオ航空はマカオ国際空港を本拠地とする航空会社で、路線ネットワークは中国本土、台湾、東アジアが中心。日本についてが成田、関西、福岡に乗り入れている。

  本稿執筆時点(3月21日午前9時)のマカオにおける累計患者数は17人。2月4日までに武漢からの旅客が7人、マカオ人が3人の感染が確認されて以降、40日間にわたって新規感染確認ゼロが続いたが、今週に入って以降、中国以外の海外からの輸入症例が相次いだ。2月4日以前の感染確認者については、3月6日までに全員が治癒し退院済みで、重症化、死亡、院内感染例はいずれもなかった。目下、指定医療機関となる仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の隔離病室で入院治療を受けているのは、今週感染確認された7人で、いずれも軽症とのこと。

武漢からマカオへ到着したチャーター機から降りる帰還者ら=2020年3月7日、マカオ国際空港(写真:GCS)

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