マカオのIRにニセ警官出現…違法両替のおとり捜査装いカジノ客からゲーミングチップ詐取

 マカオ司法警察局は2月19日、コタイ地区にある統合型リゾート(IR)内で同局の警察官に扮し、違法両替のおとり捜査を装ってカジノ客から多額のゲーミングチップを詐取したとして20代の中国人(中国本土居民)の男を逮捕したと発表。

 同局によれば、同月18日午前、カジノ客の男性から「コタイ地区のIR内併設カジノの喫煙所で見知らぬ男から有利なレートで両替すると声をかけられ、これに応じて男とIRのロビーへ出て取引を行った際、相手方が”司法”のマークが付いた身分証ケースを取り出した上、マカオ司法警察局の警察官であると自称し、違法両替は犯罪にあたるとして両替のため差し出した額面6万香港ドル(日本円換算:約116万円)分のゲーミングチップを押収し、カジノへの再入場を禁止すると命じられ、一旦は相手の話を信じて現場を離れたが、同日昼に友人と会って事の顛末を話す中、詐欺だった可能性があることに気づいた」とする通報が寄せられたとのこと。

 通報を受けた同局が捜査に着手し、容疑者の身元特定に成功。同日夕方、男が關閘イミグレーションから出境しようとしたところを逮捕し、所持品の中から”司法”の文字が入った身分証ケースを発見したという。同局による捜査で、男は詐取したチップを別のカジノ施設内で違法両替に従事する男を通じて現金化し、中国本土にある自身の銀行口座へ振り込んでいたことも判明した。

 男は同局の調べに対して犯行を認めており、身分証ケースについてはマカオで警察官に扮して詐欺を行う計画を立て、ネット通販で購入したなどと供述したとのこと。同局では、男を巨額詐欺及び職務僭越の罪で検察院送致する方針。

 近年マカオでは「換銭党」と呼ばれる違法両替従事者らがカジノ施設内外で暗躍し、暴力、詐欺、窃盗、密航などさまざまな事件を引き起こしてきたことから、犯罪の温床として社会的問題化。対策の一環として、換銭党による違法両替行為を刑事罰の対象とするマカオの新法「打撃非法賭博犯罪法(違法賭博犯罪対策法)」が昨年(2024年)10月29日に施行されたばかり。

警察が公開した証拠品(写真:マカオ司法警察局)

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