マカオIR施設、ノンゲーミング売上の伸び顕著、カジノ売上成長率の10倍に

マカオの月次カジノ売上が昨年(2014年)6月から今年4月まで11ヶ月連続で前年を下回る中、マカオ市場ではノンゲーミング(非カジノ)分野の充実が急務となっている。

カジノ売上低迷が続く逆風下の今年5月27日、マカオ・コタイ地区に大型IR(統合型リゾート)施設「ギャラクシーマカオ」第2期及び「ブロードウェイマカオ」がオープンを果たした。もちとんカジノは併設するが、ショッピング、エンターテイメント、グルメ、レジャーといったノンゲーミング要素をふんだんに盛り込んだ上、マカオの中小企業をテナントとして誘致するなどの取り組みに注目が集まった。運営会社のギャラクシーエンターテイメントグループ(以下、GEG)では「ノンゲーミングに重点を置いた新しいタイプのIR施設」としており、これまでカジノ一辺倒のイメージが強かったマカオのツーリズム界に新風を吹き込むことが期待されている。

マカオの日刊紙「澳門日報」が6月1日付紙面で報じた記事によると、米国ネバダ大学ラスベガス校国際ゲーミング研究所のバーナード所長が今年4月に中国の北京師範大学で講演を行った際、2005年からマカオのIR施設におけるノンゲーミング売上の伸びが顕著となり、カジノ売上成長率のおよそ10倍に達すると資料を紹介。具体的には、マカオのカジノライセンスを保有する6社のカジノ売上が660%増だったのに対し、ノンゲーミング売上は実に6400%増の26億米ドル(日本円換算:約3229億円)に達したという。

また、マカオ市場における10大カジノIR施設のノンゲーミング売上は平均2.5億米ドル(約311億円)、ラスベガスの平均は2.3億米ドル(約286億円)だが、このうち25大施設に限ると平均3.8億米ドル(約472億円)にも上るとのこと。

2014年の訪マカオ旅客数は3150万人で、ノンゲーミング消費は70.7億米ドル(約8787億円)。同年の訪ラスベガス旅客数は4110万人、ノンゲーミング消費は100.3億米ドル(約1兆2466億円)。

マカオでは、今後数年間に渡って新規大型IR施設のオープンラッシュが続くが、いずれの運営会社もノンゲーミング分野の充実を謳っている。

【資料】マカオとラスベガスの比較(2014年)
・年間訪問客数=マカオ:3150万人<ラスベガス:4113万人
・カジノ売上=マカオ:3515億パタカ(5.47兆円)>ラスベガス:64億米ドル(0.80兆円)※クラーク郡全体:96億米ドル(1.19兆円)
・ホテル客室数=マカオ:2万7904室<ラスベガス:15万544室
・平均客室稼働率=マカオ:86.5%<ラスベガス:86.8%
※いずれも2014年データ
※カジノ売上は現地通貨を日本円換算した概数
※出典:マカオ統計調査局、マカオ博彩監察協調局、ラスベガス観光局

5月27日にオープンした大型IR施設「ギャラクシーマカオ」第2期のショッピングモール(資料)=マカオ・コタイ地区—本紙撮影" src="https://www.macaushimbun.com/wp-content/uploads/2015/05/DSC03299.jpg" width="468" height="312" /> 5月27日にオープンした大型IR施設「ギャラクシーマカオ」第2期のショッピングモール(資料)=マカオ・コタイ地区—本紙撮影

5月27日にオープンした大型IR施設「ギャラクシーマカオ」第2期のショッピングモール(資料)=マカオ・コタイ地区—本紙撮影” src=”https://www.macaushimbun.com/wp-content/uploads/2015/05/DSC03299.jpg” width=”468″ height=”312″ /> 5月27日にオープンした大型IR施設「ギャラクシーマカオ」第2期のショッピングモール(資料)=マカオ・コタイ地区—本紙撮影


カジノIR施設が建ち並ぶラスベガスのメインストリート「ラスベガス・ストリップ」(資料)=米国・ネバダ州—本紙撮影

カジノIR施設が建ち並ぶラスベガスのメインストリート「ラスベガス・ストリップ」(資料)=米国・ネバダ州—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ招商投資促進局(IPIM)は9月8日、同局と国際熱帯木材機関(ITTO)の主催による「グロ…
  2.  マカオ司法警察局は9月7日、非マカオ籍の男性ギャンブラーへ賭博用途のカネを高利で貸し付けた上、返…
  3.  マカオでは、台風11号(国際名「ヤギ」)の接近による影響で、9月5日午後10時から6日午後2時ま…
  4.  マカオでは、9月5日から6日かけて超大型の台風11号(国際名「ヤギ」)が接近し、激しい風雨に見舞…
  5.  マカオ経済の屋台骨となっているのが、カジノを主としたゲーミング(ギャンブル)産業だ。マカオにはカ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年9月号
(vol.135)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun