マカオ、高等教育学歴取得率の上昇続く…15年間学費無償化や奨学・補助金充実で=人材の海外流出が課題

マカオ特別行政区人材発展委員会が4月28日付で発出した人材育成への取り組みと課題と題したレポートにおいて、21世紀に入って以降、マカオにおける高等教育学歴取得率が急上昇していることがわかった。

マカオにおける2016〜17年度(*マカオの学年は9月開始)の中等教育学校(日本における中学・高校に相当)卒業生の高等教育(大学等)進学率は91.9%だった。また、2016年のマカオの全人口に占める高等教育学歴取得率は28.9%で、2001年の7.6%、2011年の16.7%と大きな上昇カーブを描いている。2018年のマカオの労働人口に占める高等教育学歴取得率は36.4%、2020年には4割を上回る見込みで、アジアの先進地域の平均水準に達するとした。

こういった状況が生じた理由として、マカオ政府が幼稚園から中等教育学校までの15年間の学費無償化や奨学金、教科書代等の学生向け補助金といった大量の資源を投入したことを挙げている。

このほか、21世紀に入って以降、カジノ関連産業の急速な発展に伴い、マカオ人のマネジメント階層以上への登用機会が増えていることも高等教育学歴取得の動機付けになっている。2017年の統計資料によれば、カジノ運営企業の上級管理職と中間管理職に占めるマカオ人の割合はそれぞれ76.8%、97.4%だった。

一方で、課題もある。直近3年間でマカオまたは海外の大学を卒業したマカオ人の追跡調査結果で、マカオに留まり/マカオへ戻って就職した人の割合は平均80%に留まっており、人数にして毎年数百から1千人規模の高等教育学歴取得人材が海外へ流出しているとのこと。特に、修士、博士課程修了者の流出状況が著しいという。これに加え、海外からマカオの高等教育機関へ留学している海外学生については、卒業後すぐにマカオを離れなくてはならないとするルールがあり、人材の空洞化が懸念されるとした。

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

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