マカオ行政長官、香港との隔離検疫免除での往来再開に慎重姿勢示す…市中感染確認14日連続ゼロが条件を再度強調

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行が長期化する中、マカオでは厳格な水際措置と域内における各種防疫措置が奏功し、約400日間にわたって市中感染確認ゼロを維持している。

 同じく状況が落ち着いている中国本土との間では、昨年(2020年)7月中旬から往来制限の緩和が進み、現在では新型コロナウイルスPCR検査陰性証明の提示など一定の条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。

 マカオにとって、中国本土に次ぐインバウンド旅客ソースとなっているのが香港だ。目下、香港との往来にあたっては、マカオ入境後に政府指定場所(検疫用ホテル)における14日間の隔離検疫を受ける必要がある。

 近日、香港メディアが4月中旬に海南省ボアオで開催されたボアオ・アジアフォーラムの2021年年次総会会場において香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官とマカオ特別行政区の賀一誠(ホー・ヤッシン)行政長官が香港とマカオの間の往来について相互に隔離検疫を免除する「トラベルバブル」について協議したと相次いで報じた。香港では、昨年11月からの流行第4波が現在も続き、近日では市中で変異株ウイルス感染者が相次いで確認されている状況で、マカオでは報道を受けて懸念が広がっている。

 賀氏は4月30日に囲み取材に応じた際、ボアオ・アジアフォーラムの会場で林鄭氏とトラベルバブルについて話をしたのは確かたが、あくまで可能性を探っている段階であると述べた。加えて、香港における市中感染確認が14日間連続ゼロとなることがこの件に関して正式協議に入る前提条件であるとする従来方針に変わりはないとし、香港における状況の変化を見守る必要があるとした。

 なお、中国本土との往来については、ワクチン接種を条件にPCR検査陰性証明提示の相互免除の可否について、中国中央政府からの回答を待っている状況とのこと。これが実現すれば、中国本土からのインバウンド旅客数増につながると予想され、観光業界をはじめ、マカオ経済に大きなメリットがあると期待感を示した。

囲み取材に応じるマカオ特別行政区の賀一誠行政長官=2021年4月30日(写真:GCS)

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