香港の新型コロナ新規感染者数は499人…セントラル地区のバーでクラスター発生相次ぐ=6/3

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度でこう着状態にある。

 香港衛生当局が6月3日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から10人増の499人(輸入性49人含む)とのこと。内訳はPC検査経由が199人、迅速抗原検査経由が300人。2日ぶりに増加となり、3日連続で200〜300人水準を上回る状況。第5波開始以来の累計感染者数は約120.1万人。新規の死亡報告数は2人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9169人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、レストランやバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもある。

 ソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和によって、5月19日からバーの営業が再開可能となって以降、香港島セントラル地区にあるバーでのクラスターが相次いで発生する状況。3日夕方の会見で、新たに1軒(Shuffle)で14人が感染した事案が公表され、これまでに公表された3軒(Zentral、Iron Fairies、LINQ)と合わせて計4軒に。3日までの4軒の累計感染者数は119人に上る。なお、LINQで感染確認されたうちの1人がIron Fairies、Shuffleの1人がZentralを訪れていたこともわかったとのこと。当局がクラスター発生時間帯に居合わせた人の追跡を行っているが、ZentralとIron Fairiesに居合わせたとみられる少なくとも100人が検査に応じておらず、警告を発出されたという。

 近日、感染確認例に占める迅速抗原検査経由の陽性報告数の割合が増えているが、偽陽性だけでなく、意図的な虚偽報告もあったとされる。当局は3日夕方の会見で、5月31日の迅速抗原検査経由の陽性報告者のうち49人が反復検査で陰性となり、陰性率は約23%にも上ったことを明らかにした。近日は感染確認数がやや上振れしているが、こういったケースもあり、リバウンドの有無についてしばらく様子見が必要とみられる。

 6月2日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.1%(1回目の接種完了)、87.2%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。2日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万4598回で、7日移動平均は4万4602回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(74.12%)、70〜79歳(81.08%)、80歳以上(67.68%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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