マカオの新型コロナ6・18アウトブレイク累計陽性者数414人に…初歩陽性者が37人、依然市中に伝播チェーン存在=6/28

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5」が市中へ流入(感染源不明)し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月28日午後5時から会見を開き、6・18アウトブレイクに関する各種最新情報を発表。

 28日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は57人(一般市中33人、隔離対象24人)で、6月18日以降の累計は414人に。内訳は女性243人、男性171人、年齢8ヶ月〜89歳、症状あり(感染確認)が105人、無症状が309人。前日の会見で公表された重症化に至ったケース(慢性疾患を持つ60歳の女性1人)については、対処療法及び新型コロナの経口治療薬の投与を経て、現在は容体は安定しているとのこと。加えて、28日午前0時以降、会見までの間に新規で37人の初歩陽性者がいるとした。

 疫学調査を通じ、陽性者は暫定的に11のグループ(前日から1グループ増)に大別されるとのこと。新たに1グループの追加に。11あるグループのうち、9つのグループの間には接点があるとされているが、2つのグループについては他グループとの明瞭な関連性が見つかっていないという。いずれのグループにも属さないケースが48人おり、調査が続けられている。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが複数回にわたって実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。

 目下(27日午前9時から28日午後6時まで)、3回目の全市民PCR検査が実施されている。検査前に迅速抗原検査を各自で行い、結果が陰性の場合のみ会場へ向かい、陽性となった場合は同住者全員が自宅待機し、救急車を呼ぶよう呼びかけが行われている。会見時点までに約60.2万人が今回の全市民PCR検査を受け、うち約30.6万人について結果が陰性と判明したが、混合サンプル(10人分の検体を1本とする方式)21本が陽性だったとのこと。さらに、PCR検査前の迅速抗原検査で陽性となったケースも41人から報告されたという。

 当局では、疫学調査及び全市民対象PCR検査及び迅速抗原検査で陽性者が出現する状況が続いている現状から、依然として市中に伝播チェーンは存在し、感染リスクがあるとして、市民に対して防疫対策をしっかり講じるよう呼びかけた。

 このほか、28日午後3時までに隔離検疫の対象とされた人の数は9256人に上るとのこと。内訳は、陽性者414人、濃厚接触者が1332人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が6216人、二次濃厚接触者が353人、一般接触者が295人、付き添い人が446人。

 複数の陽性者が出現したことで局地ロックダウンの対象とされる場所(ビル及び店舗単位)も次々と出現している。予防措置として高齢者介護施設についても閉塞管理に。また、レストランのイートイン営業が禁止(テイクアウトに限った営業は可)、映画館やフィットネスクラブなど屋内エンターテインメント・レジャー施設も閉鎖に。政府部門や銀行の窓口の休業も7月1日まで延長され、当局は民間企業についてもテレワークなどを活用し、人流減に協力するよう呼びかけている。なお、局地ロックダウン対象場所を除いて、市民の外出は可能な状況となっているが、政府は伝播リスク軽減のため、不要不急の外出を控えるよう求めている。25日からは公共路線バスの間引き運転(路線により4〜60%減)が開始されたほか、警察官の巡回を増やし、人の集まる状況を発見した場合に警告を発するようになった。なお、カジノ施設については、局地ロックダウン対象となっているホテルフォーチュナ内の施設を除いて営業を継続しているが、入場にあたって48時間以内のPCR検査陰性証明及び毎日の迅速抗原検査陰性結果の提示を必須とするなど防疫措置が強化されている。

6・18アウトブレイク後3回目の全市民PCR検査から導入された移動PCR検査スポットは路線バスを活用したもの=2022年6月27日(写真:GCS)

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