人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。（以下、「6・18アウトブレイク」と表記）

　6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入（感染源不明）し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

　マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月5日朝、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表した。

　5日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数（市中感染事例に限る）は89人（一般市中66人、隔離対象23人）で、6月18日以降の累計は941人に。新規感染者数は前日から21人増で再び増加に転じ、一般市中で発見に至るケースが多い状況も続いており、依然として市中に伝播チェーンが残っている状況が伺える。

　5日午前8時までに隔離の対象とされた人の数は1万3010人に上った。内訳は、陽性者941人のほか、核心濃厚接触者が2220人、非核心濃厚接触者（陽性者と居合わせた）が8140人、二次濃厚接触者が665人、一般接触者が332人、付き添い人が712人。

　マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。直近では、7月4日から9日までの6日間にわたって3回の全市民PCR検査が実施されている。4日午前9時にスタートした4回目の検査について、5日午前8時までに48万8638人が受検し、うち38万8563人が陰性と判明済みだが、混合サンプル（10人分で1本）42本から陽性が検出されたという。

　目下、陽性者が出現した場所（ビル及び店舗単位）に対する局地ロックダウンや各種人流抑制措置などが講じられており、市民はここまで2週間以上にわたって不便な生活を余儀なくされている。中国広東省でもマカオからの入境者に対する水際措置が大幅に引き上げられ、両地間の相互往来が困難な状況となっている。

　このほか、当局は4日夜、疫学調査を通じてコタイ地区にある統合型リゾート（IR）併設の高級モール「四季名店（ショップス・アット・フォーシーズンズ）」の1階に関連する40人以上が感染するクラスターが発生したことが明らかになったとし、同フロアにある全店舗を4日午後8時から10日午後11時59分まで閉鎖するよう命じた。テナントスタッフ、清掃員、警備員、内装工など全員が4回のPCR検査を受検し、揃って陰性が確認されることが再開要件とのこと。

　当局は4日夕方の会見において、新規感染者数の増が続く要因として、感染力が強いため、1人が感染すると家族や身近な人に伝播させやすく、家庭内や同住者間で複数の陽性者が見つかるケースが多いことを挙げ、局地ロックダウンや高頻度の全市民対象検査実施によって爆発的な感染増を抑える効果があるとし、市民に対して理解と協力を求めた。

マカオで6月19日以降4回目の実施となる全市民対象PCR検査会場の様子＝2022年7月4日（写真：GCS）