マカオのオミクロンBA.5アウトブレイク累計陽性者数が1千人超…大半が無症状または軽症でホテル療養

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入(感染源不明)し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月6日午後5時から会見を開き、6・18アウトブレイクに関する各種最新情報を発表。

 6日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は146人(一般市中107人、隔離対象39人)で、6月18日以降の累計は1087人に。単日で3桁増となるのはアウトブレイク発生後初めてのこと。依然として市中における陽性者の割合が高いが、市中のうち過半数(59人)が(中リスクを示す)健康コード「黄色」及び清掃・警備・ビル管理等に従事する重点検査対象だった。

 これに加えて、6日午後4時までに81人の初歩陽性が報告されているとのこと。

 ここまでに陽性が確定した1087人の内訳は女性が589人、男性498人、年齢は3ヶ月〜100歳で、症状あり(感染確認)が427人、無症状が660人、死亡者が2人。

 陽性者数が増大する中、すでに政府は仮設の臨時医療施設を段階的に稼働させている。ただし、目下のところ陽性者の8〜9割が無症状または軽症で、隔離ホテルで療養中という。

 6日午後3時までに隔離の対象とされた人の数は1万4351人に上った。内訳は陽性者のほか、核心濃厚接触者が2406人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が9033人、二次濃厚接触者が774人、一般接触者が331人、付き添い人が720人。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。目下、7月4日から9日までの6日間にわたって3回(6月19日以降で4、5、6回目)の全市民PCR検査が実施されている。4回目のPCR検査受検後、9日まで1日1回の迅速抗原検査を実施することも求められる。また、警備・清掃・ビル管理業に従事する人を重点対象とした検査が3日に続いて再実施となり、6日から9日まで毎日1回のPCR検査を受けることが求められる。

 5日(終日)の迅速抗原検査結果報告数は54.8万人で、うち33人(市中25人、隔離対象8人)が反復検査を経て陽性が確定。6日午後3時までの結果報告数は約41.3万人で、うち18人(市中13人、隔離対象5人)が陽性で、反復検査の手配を進めているとのこと。4日午前9時から5日午後6時にかけて実施された4回目の全市民PCR検査では混合検体(10人分1本)94本から陽性が検出されたという。これに関して、6日発表分の陽性者数には含まれていないという。

 目下、陽性者が出現した場所(ビル及び店舗単位)に対する局地ロックダウンや各種人流抑制措置などが講じられており、市民はここまで2週間以上にわたって不便な生活を余儀なくされている。中国広東省でもマカオからの入境者に対する水際措置が大幅に引き上げられ、両地間の相互往来が困難な状況となっている。近日、統合型リゾート(IR)や大型ショッピングモールが封鎖対象となる例も相次ぐ。

 当局では、重点検査対象とした警備・清掃・ビル管理業に従事する人の感染状況は深刻で、疫学調査も複雑化しているとした。その理由として、宿舎やルームシェアなどグループで寝泊まりしている場合が多く、1人が感染した場合にルームメイトの感染が免れず、一気に伝播が拡大する状況の存在を挙げた。

 このほか、現時点で現状よりも厳格な管理措置(行動制限等)を講じる計画はなく、まあ生活必需物資も充足しているため、市民に対して落ち着いて行動し、過度な買い溜めなどの行為を控えるよう呼びかけもなされた。

マカオで高頻度実施されている全市民対象PCR検査会場の様子(写真:GCS)

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