マカオ、人気歌手・張学友さんのコンサート開催でカジノ売上が伸長

 「歌神」の愛称で知られる香港の人気歌手、張学友(ジャッキー・チュン)さんのコンサートが前週末(6月9、10、11日)にかけてマカオ・コタイ地区にあるカジノIR(統合型リゾート)ザ・ヴェネチアン・マカオ併設のコタイアリーナで開催された。

 複数の投資銀行が近日発表したマカオのカジノ業界の動向に関するレポートの中で、このコンサートの開催を受けて、前週(6月5〜11日)の単日平均カジノ売上(カジノ粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)が約5.3億パタカ(日本円換算:約92億円)に上り、前の2、3週の平均値である約4.5億パタカ(約78億円)から改善したことを明らかにした。

「張学友60+コンサートツアー」マカオの初日の様子(資料)=2023年6月9日、コタイアリーナ(写真:Sands China Ltd.)

 シティのレポートによれば、業界内消息筋の話として、6月1〜11日累計のマカオのカジノ売上は約55億パタカ(約954億円)に達する見込みで、これは前週の単日平均が5.29億パタカ(約92億円)に上ることを意味し、6月1〜4日から18%増となり、張学友さんのコンサート開催による旅客数の増と関連する動きとの見解を示した。なお、6月を通してのカジノ売上予測についてはコロナ前2019年同月の57%に相当する135億パタカ(約2341億円)で据え置いた。

 UBSのレポートでも張学友さんのコンサートによってマカオの前週の単日平均カジノ売上が5.29億パタカまで急上昇し、6月1〜4日の平均値である4.5億パタカ(約78億円)を上回ったとし、目下のカジノ売上レベルは2019年第2四半期の67%前後で、このうちマス(いわゆる平場)に限れば同90〜95%まで回復しているという。

 JPモルガンのレポートでは、6月1〜11日累計のマカオのカジノ売上は55億パタカ(約954億円)、単日平均5億パタカ(約87億円)に上り、前週については過去2〜3週の単日平均値である約4.5億パタカ(約78億円)からコロナ明けの閑散期における最高水準となる5.3億パタカ(約92億円)まで改善したとし、前週末に開催されたコンサートとIR併設の新ホテル開幕(グランドリスボアパレスのザ・カール・ラガーフェルドが10日に多数のセレブリティを集めたセレモニー開催)がカジノ売上を押し上げたとの見方を示した。このほか、季節要因(閑散期)により、6月のカジノ売上は低調となることもあるが、第2四半期は市場予測を上回る好調を維持しており、マスのカジノ売上とEBITDAについてはコロナ前のそれぞれ80%、65%水準まで回復する可能性があるとした。

 なお、張学友さんのコンサートは6月16、17、18、23、24、25、30日、7月1、2日にもマカオの同会場で開催予定となっている。このところ、別のIRに併設する会場でも中華圏で人気の高いアーティストのコンサート開催が相次いでいる。

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