日本が福島原発処理水の海洋排出すれば10都県産水産物を即時輸入禁止に…香港政府

 近日、香港やマカオでは、東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処理水)海洋放出設備の試運転開始の報を受けて、日本産食品の安全性に対する関心が高まっている状況。

 7月12日、在香港日本国総領事館が「東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水に関する香港特別行政区政府向け説明会」を開催。日本側から、海部篤外務省軍縮不拡散・科学部長、岡田健一在香港総領事、湯本啓市経済産業省資源エネルギー庁原子力事故災害対処審議官、道野英司農林水産省輸出・国際局審議官及び外務省、農林水産省、経済産業省から、また香港側から陳國基政務長官、謝展寰環境生態局局長及び政府関係者が参加したとのこと。

 在香港日本国総領事館の報道発表によれば、説明会では日本側から処理水の取扱いに関するこれまでの取組を改めて説明するとともに、今月(7月)4日に公表されたIAEA包括報告書を含めIAEAレビューの内容・結果に関して情報提供を行い、香港側との間で質疑応答を実施。また、日本側から日本産食品の安全性は確保されていることを改めて説明し、香港が現在実施している日本産食品・農産物に対する輸入規制を早期に撤廃し、また処理水放出に伴った更なる規制措置を行うべきではない旨強く要請するとともに、科学的根拠に基づく対応を求めたという。このほか、双方は引き続き関係当局間で関連の意思疎通を行っていくことで一致したといい、日本として今後も関係省庁等が一体となって、ALPS処理水の安全性や東電福島第一原発の状況についての情報を国際社会に対して透明性をもって丁寧に説明していくとした。

 香港特別行政区政府も同日、上述の説明会を受けて報道発表を行い、一旦日本側が処理水の海洋排出を開始した場合、即時に日本の10都県(東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉)を原産地とする水産物の輸入禁止を計画していることを明らかにした。香港における食の安全と公衆の健康を確保ことを目的とした予防原則に基づく措置と説明している。

 また、説明会の中で、香港側から日本側に対し、環境に対する不可逆的な影響を避けるため、国際社会におけるコンセンサスが得られる前に日本は一方的に福島原発処理水の海洋放出をすべきでないと改めて伝えたとした。

福島原発処理水の海洋排出をめぐる香港側と日本側による会談の様子=2023年7月12日(写真:news.gov.hk)

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