マカオLRTタイパ線媽閣駅延伸部での各種テスト順調…年内開業に現実味

 マカオ初となる本格的な軌道系大量輸送機関として、2019年12月に新交通システムのマカオLRT(Light Rapid Transit)タイパ線が部分開業。現在、タイパフェリーターミナル駅と海洋駅の間の9.3キロメートル、11駅の区間で営業運転を行っている。

 同線の沿線には陸海空の玄関口のほか、大型カジノIR(統合型リゾート)が密集するコタイ地区、著名観光地のタイパヴィレッジ、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅街が存在するが、路線がタイパ島とコタイ地区内で完結しており、当初計画のマカオ半島乗り入れは実現に至っていない。未開業部は暫定的に”終点”となっているタイパ島北西部の海洋駅から西湾大橋を通ってマカオ半島南部の媽閣駅に至るまでの1駅分。

 マカオ政府公共建設局(DSOP)は8月4日、同月中旬からタイパ線における列車及びシステム総合試験と試運転の実施を予定していることを明らかにした。試験期間中、駅・列車内のサイネージや放送で新駅「媽閣駅」や改称を予定している「蓮花駅(現駅名:蓮花口岸駅)」の名前が表示、アナウンスされることがあるとし、乗客に注意を呼びかけた。

営業運転時間外に実施された運転コントロールセンターでのシステム試験の様子(写真:DSOP)

 DSOPによれば、今年(2023年)1月中旬からスタートした延伸部の列車試験は第1フェーズと第2フェーズ(終発と始発の間の時間帯で計264時間)の試験を終えたとのこと。現在は最終の第3フェーズの試験を行っており、並行して7月中旬から順次列車と運行システムの更新を進め、8月中旬にも終了予定という。今後、延伸に向けた各種サイネージの付け替え作業などを行い、11月末までに完成する見込みとした。

 マカオ政府はかねてより延伸部の開業予定時期を年内と発表しており、各種試験が順調に進む中、現実味を帯びてきたといえる。

 媽閣駅は著名な世界遺産「媽閣廟」のすぐ南側に位置し、LRT駅のほか、バスターミナル、タクシー乗り場、観光バス乗り場、公共駐車場などで構成される交通ハブとして計画されたもの。駅舎はすでに完成済みで、バスターミナルや公共駐車場が先行オープンしている。

列車内のサイネージに反映された媽閣駅(新駅)と蓮花駅(駅名改称)の情報(写真:DSOP)

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